冬 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 特に冬を厭い春を望む理由もない
 冬は嫌いではないからであり
 また特に春が好きだからでもない
 
 季節がそれぞれに美しいかどうかは
 結局は自分の生きかた次第なのだ

 けれど少しばかり夢を見て
 春を望みかける冬の一日を思ってみる




   命まだそこに在り冬日に鋭き風の音を聞く



   我が胸に君が乳房の当たれるを
          葉音さざめく竹の宿に聴く



   滑るほど冷たき板の間の
      冬日に僅かに温もれる
          裸足で踏みて生を確かむ
 



 春がくればきっとまた新しい変化がやってくる
 そのときに僕が何をどうすべきかを
 冬の間にこそ考えておくべきなのだろう
 しばし黙して


 迷うこと
 過(あやま)つことのないように