映す | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 心を映すなら
 それは同じことだ
 鳥であろうと月であろうと
 雲であろうと花であろうと

 手に取らず
 この身を如何ようにも投げようと
 両の乳房に頬をもて
 一夜の月光を
 映しおく

 愛さずとも我は汝(な)がもの
 光の影と成りしもの

 ただ歌のみが
 死の怖れよりわれらを救うだろう