朝走る | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 まだ明けていない朝に
 凍てた道を走る

 かすかな車の音
 人通りのない道を

 まだ夜のような暗闇を
 人の気配を求めたわけではない

 いのちを
 すべてのいのちを確かめようと

 そうさ
 どんないのちも

 抱きしめられたいと
 思うときがある

 それこそが
 いのちの証(あかし) 
 
 そしてもしかすると
 生きる意味