奇妙な予兆の感覚
なぜか今年の風は格別に烈しく
昨夜からもずっと哮(たけ)り続けている
曖昧な態度を決して許すまいと
衣を脱ぎ捨てた枝々のあいだの
空気さえ切り裂くように
家々の外壁を打ち
乾いた冷たい火の咆哮のように
鋭い声を聞いていると
いつの間にか僕は吹きすさぶ風の中にいる
海が色彩を拒んで
風の下に平伏して動けなくなるなかに
風は屈曲して自らを切り裂いていく
そうでなくては風ではないと
風は風を裂くものだ
身をよじっては自らを突き抜けていく
目には見えぬのに
明らかに脳裏に届く風の姿は
ダイヤモンドの竜のように頑(かたく)なに光って
今という時間を切り裂かずにはいない
そして来るべきものが
静かに戸口にやってくる
凍てる朝
お前の胸を開(はだ)けてこの冬を抱けと