なんだか好きじゃない
肉厚でぼってりとして
くすんだような赤の花びらが
山茶花(サザンカ)はいつもそう思って顔を曇らせていた
けれど冬の寒い空気の中で咲くのだもの
春の花のようにいつも潤って咲いてはいられない
でもどうしてこんな赤なのだろうと
冬空の下で咲く度に山茶花は思うのだった
ある冬に暗い鉛色の空から
白く冷たいものが舞い降りてきて
山茶花の花の額も頬も唇も
氷のような掌(てのひら)で包み込む
なんて冷たいのだろうと震えたが
通りかかった子どもが言った
「雪の降る中で美しく輝きだすなんて
なんと強くて綺麗な花なのだろう」
それを聞いて山茶花は誓った
雪の白と結ばれて輝ける唯一の花として
私は自分の花びらを誇らしく思っては
雪の日の子どもたちのために咲くだろう
雪の日の子どもたちの頬と唇のように赤赤と
それこそが冬の花 Camellia sasanqua の
生きる意味なのだと
気がついた
生きる意味なのだと
気がついた
