雪の水辺に舞うものを見た(2) | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 鷺は比較的大きな鳥だからよく目立つ
 雪が舞っていようが全く気にしていないのだろうか
 でもどこか
 飛び方が夏とは違っているようにも思える









 一羽で自由気ままに飛んでいた夏
 仲間が残り少なくなったせいかもしれないが
 番(つがい)になっているのかと思えるほどに
 ずっと対になって飛ぶ二羽がいる






 僕は鳥の専門家ではないので
 そういう鷺たちの変化の理由はわからない

 僕に分かるのは連中が飛ぶ背景となっていた水辺の空間が
 鮮やかに変わってきたということだけだ
 木々の色はただの緑から錦のように色づいた
 そして今日は雪
 ただ紅葉した葉を見るだけではなく
 そこに粉のように舞ってくる雪がある

 鮮やかな紅葉と白い雪が
 飛ぶ者たちを自分たちの中に解かしこんでしまう
 それはまるで自然が創りだした隠し絵のようだ

 枝に留まっている雪の白が鷺の白を
 分からなくするせいなのだろうか
 いやそれだけではないはずだ

 この一枚には一羽






 鷺の姿は飛んで移動しているのを見ている僕には分かるのだけれど
 その一瞬をとらえた写真を見ていると
 鷺の姿を見失ってしまいそうだ
 きっとそのことにも自然は何かしらの意味を与えたに違いない


















 上の5枚の写真には
 二羽の鷺が飛んでいるのが写っているのだけれど
 見つけられましたか
 たぶん一番上の二羽が一番分かりやすく
 だんだん下に行くに連れて分かりにくくなっているかな

 あの「ウィリーを探せ」の安野光雅さんにでも
 「鷺を探して」と送りたくなる

 写真としては鷺が見えないのは悲しいのだけれど
 絵に描いたら
 あるときはっと鷺が目に飛び込んでくるような
 絵になるかもしれないとほくそ笑む

 確か日本画でも
 こんな秋の錦を描いた絵があったような記憶がある
 あれは誰の絵だったのだろう

    寒々と粉雪の舞う林の錦に二羽の鷺
              恋隠れたる師走かな


 しかし
 こっちはそうはいかない
 こっちは若山牧水の歌でも思い出しておくべきか












   忘れがたき色彩の中を鷺が飛んだ雪の一日
             舞っていたのは何色の何?



 鵜たちも負けてはいない
 雪の中を高く飛んでいく

 かと思うと
 水の生き物だということを思い知らされる
 騒がしい水上滑走から離水しては
 どこかで水に潜っては漁を繰り返す
 その姿を見ながら
 鵜匠に飼われている鵜とは違う生き方なのだろうなと思う



 















 一番の感想は「寒くないのかな」だが
 ずいぶんと元気が良さそうだ
 まるで「どうだぁ❢」とでも言ってるように羽を広げて見せた

 水辺にはどんどん新顔が増えている

 こいつはこの間からお目にかかっているな






 これはなんとも可愛いグループだ







 雪の降るなかで貴公子みたいな顔をしているのは
 たぶんカンムリカイツブリ
 冬毛の白が美しいが頭のハートマークが
 印象的だ
 きっと北から下ってきたのだろう
 たいてい番(つがい)で仲睦まじい











 そうやって水辺の鳥たちも変化していくのだなと実感する






 こいつはまだ今日も同じ枝の上で池をじっと眺めていた
 きっと独りが好きなのだろうと思う
 でも
 この後でちょっと驚くべきことが起きたのだ
 (それは第3回最終回にするとして)

 雪雲が薄れ始め青い空が広がっていく
 まだ雪はときどき落ちてくる

 不思議な青だった
 まるで雪の白絵の具を空に溶かしこんだような
 ミルク色の青い空