夜の炎 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 
 夜の奥に瞬いていた炎

 極北の凍てついた大地の上の
 赤い心臓を持ったトナカイたちの群れ
 ツンドラに地響き立てて走りゆく
 遥か頭上に
 ただひとつの座標点

 極北の星
 ポーラースターの
 氷りながらに心を射抜く
 言葉をもって
 
 生きることは正に死ぬほどに在ることか

 
 乾いた流砂の海の遥か上を征く西風ゼフィルスの
 誰にも伝えなかった秘宝の火

 赤く煌めく孤独をこともなげに顕(あらわ)して
 喉の奥から歌い来る
 光の砂嵐

 とめどなき時の流れの中の
 不動の星よ

 生きることは近づき得ないお前のように在ることか
 
 
 
 踊りて在れ
 踊りて在れ
 星の炎に照らされて
 燃え上がりくる己のうちに