寒月頌 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある










 フロントガラスが完全に凍りついていた夜
 月が球体であることを忘れそうになる僕に
 真円の刃のごとく上空に君臨する月光の王


 小雪降りし日に寒月の冴え渡るかな十二月

 叢雲の疾く流るれば月また速し時の海渡る