冬 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 硝子戸が温まるほど太陽が眩しい
 雲さえ燃えるプラチナのように輝いて

 ハナミズキの臙脂色の葉は
 先日の冬の嵐で皆散り落ちてしまったけれど

 今日はもう
 枝と枝の間に光が溢れかえっている

 冬
 なんとダイナミックな季節だろう

 冷たい烈風の後に
 光の眩しい日

 氷雨に濡れていた枝が
 からからと乾いて揺れる

 陽だまりで微睡(まどろ)んでいる時間
 やがて木枯らしにコートの襟を閉じ

 極北と暖気の渦巻きのように入り乱れ
 生きていることを凛と感じる

 心鎮まり心熱くなる
 一巡りする太陽の最後のひとつき

 いつもの場所に居ながらにして
 何処か遠い土地を旅するかのように思う季節