ジムノペディの雨 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある





 














 晩秋の寒さにもかかわらず
 裸の少年たちが走り回っている
 ジムノペディに降る雨のように


 何事も厭(いと)わずに
 身体を揺らしあるがままの姿で
 一欠片(かけら)の羞恥心もいらない


 水面に落ちては輪を広げ
 枝に宿っては
 世界を映す


 世界を映すというのはこういうことなのだ

 いのちの刃先にすべてをかけて
 透明な裸の身体にすべてを受け容れる


 ジムノペディに降る雨が
 何事も厭(いと)わずに
 僕のこころに駆け込んでくる


 一糸まとわぬ世界になって


































       ジムノペディ第1番 「ゆっくりと苦しみをもって」(Lent et douloureux)