そこに落ちていた一枚の
色鮮やかに色づいた葉は
ただ一枚ぼっちの葉なのではない
その葉の生まれ育った枝と木を
その木の一生とその木の植物種
それまでのすべての生物の系統を
この星の酸素の歴史と
この星の誕生を
銀河の永き時間の経過
大宇宙の耀かしき生成を
風に舞うほど軽い一枚で物語る
すべての命の
生きた象(かたど)り
生きた化石として今そこに在る
一片の言葉は決して
その深い時間の井戸のような一枚にはかなわない
叶う必要もない
けれど言葉にもできることがある
それはこの一枚の葉の中にある
ひたすらに続いてきた歴史を映すこと
そうやって
この一枚の新しい世界をまたひとつ造ること
言葉はいのちを映すものであり
命に新しい世界を与えなおすことなのだ