メタファとしての我 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 

 自分を何に喩(たと)えよう

 そう考えて

 はたと困ってしまった

 自分はどういう人間なのか

 もちろん

 日々していることはわかっているし

 それなりに日々を送っていると思うのだが


 例えば

 自分は兎か亀か

 そう問えば

 兎でもあり亀でもあるような気がする

 自分は樫の木かそれとも葦か

 自分は火か水か

 自分は泰然として動かぬ山か流れ行く川か

 そのどちらでもなくどちらでもあるような気が

 今日はする


 おそらくは

 自分こそがこの自分のメタファなのではないかと

 そんな気が今日はする

 秋 透明な光に

 私も透明になるようだ