潮風の記憶 『潮風の記憶』 まだ夏がそこにあったあの頃 強いられたように旅をして私は探していた 潮風に包まれて海を眺めていたあなたは 海から離れたことが一度もないと言った まるで海の一部ででもあるかのように 潮騒のように息をして波のように微笑んだ 探していたものがあなたの瞳の中にあることに 若すぎた旅人は気づかずに 海のようなあなたをじっと見つめて ただ海と笑って時を過ごしていたのだ 紺碧の水差しが夕暮れに色を失う時刻までも