鳥が鳴く | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 強風の中で鳥たちが鳴いていた
 まるで猛々しい祈り
 風と戦って
 なおも愛さずにはいられない
 鳥の定め

 愛であり
 刃(やいば)ですらある舌で
 生であり
 もうひとつの翼である喉で

 音速で空を飛ぶ代わりに
 鳴いて
 愛し合い
 戦っていた

 木々の葉の海のように鳴るなかで
 高く尖(するど)い
 鳥たちの命


 彼らにとって
 風は空の一部
 空がわだかまり憤り
 燃え上がるときには
 鳥たちは
 鳴かずにはいられなかったのだ

 その束の間の生の形として
 鳥たちは空の一部
 それゆえにまた
 風の一部

 必然の高音の交響詩






               本当は高音ではなくて高階にしたかったのですが・・・