また朝が来る | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 
 また朝が来る
 起きあがるのが嫌で
 少し退屈なようで
 僅かばかりきらりと新鮮な香りと光の
 心騒ぐアンサンブル

 荒れた風の名残りの風を
 窓開けて招じ入れ
 裸の想いを確かめる

 吸い込んだ外気に
 そっと忍び込んでいた秋の匂い
 まだ遠鳴りしている風の谷
 やがて訪れる晩秋の予感

 君のからだの芯で
 凪いでいる海
 ああかくも清(さや)けき時の移ろいよ

 命ある限り
 繰り返し続けて
 この朝を