秋の吐息 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある






 斜光の窓辺に
 愛を遠ざけた日々

 山と海は遠く去り
 風は消えていた

 時流れ

 山と海は緩やかに鳴り
 風は癒えて

 窓辺に近寄って君は
 熱き息ふき還す

 幾久しきこの日に
 秋の光揺らめいて

 潮やわらかに騒ぎ

 庭の萩のむらさき

 誰か浜辺にて歌う声