井戸に落ちた夜 井戸に落ちた夜が 水の底で光を見つけて浮き上がったが 光は夜の手から逃げて 野を包んだ 月光樹の邨(むら)よ お前の額に涼風の接吻(くちづけ)を 燃え上がる髪 やがて涸れる孤独の井戸 さんざめく夜の鳥 闇よ今一度 嗤(わら)って吾を撃て 月に魅入られし我が胸の 烈しき風をこのときにこそ断て