夕暮れソング | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 
 ちょっとセピアな夢を見た

 電信柱によじ登り
 カラスとかぁかぁ語り合い
 遠い煙突を数えてた

 滑り降りてきた時に
 石の六地蔵が笑うから
 なんで笑うのか尋ねたら

 わしらの石の頭も変わらぬが
 お前もいつまでも子どもだな

 それから今は廃れた電話ボックスで
 自分の部屋にかけてみた

 出るはずのない電話から
 懐かしい声を聞くたびに

 僕はこの愚かな遊びがやめられない

 眠った瞼の向こう側
 いつまでも夢ばかり見る自分に
 僕は何度も笑うのさ


 君がいるのじゃなくて
 僕がいる午後十一時半

 時間をずらして出会う時
 淋しさなんて午後の六時には
 消えていた

 今何時なんて聞かないで
 まっすぐ帰ればいいんじゃないかな
 腕時計落としたわけでもないんだし
 もう会えないわけでもないんだし

 ほら電話の向こうでじゃんけんぽん
 明日天気になあれ