月そのままに | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある





 空の仕掛け時計の長針が

 はらりと落ちて
 
 水面で遊んでいた満月を

 すっと二つに切りました



 でも月は微笑んだまま

 二つに割れて淡々と

 風の波間を遥か廣野の向こうまで

 ゆっくり流れていきました



 明日もきっとこの時間

 月が遊びに来るように

 仕掛け時計が笑います