波を踏む | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある





 寄せてくる

 その波を踏む

 おそるおそる

 スカートの裾を持ち上げて

 どうしようか

 でもどうしても波の

 鮮やかな冷たさに挑んでみたくて

 水に入っていきたくてしょうがなかった頃


 そんな頃が君にもあったのだ


 ああ

 今もそうなのか