嵐の後で | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 嵐が過ぎ去りかけた夕暮れ
 落ちた葉や枝が
 まだ消えぬ雨の中で濡れていた
 風も時折はげしく吹いた

 けれど落ちたものたちも
 少し疲れて少し安心した鳥たちも
 風の刻印を残したものたちすら
 静まりかえっていた

 生きること
 それは何も考えず
 ただそこに在り
 息をして
 静寂(せいじゃく)を愛することだ

 そんな気がしてならない


 帰るべき静寂(しじま)の島
 それはここなのだろうか





























 帰るべき静寂(しじま)の島
 それはここなのか