雨のクレマチス 五月の風を待たぬ風車(かざぐるま) 蔓花(つたはな)の女王はいとも静かに咲いていた まだ冷たい雨に濡れて 鉄線の名に恥じない厳しい蔓で ここまではいあがってきたことなど誰にも気どられず 誰かの慰めになろうなどと考えてみたこともない 透きとおる静けさに幸いにも気づく旅人にだけ立ち現れる その時のほかはただ八弁の萼の薄衣をまとい ひっそりと孤独な木陰に咲き濡れているだけだ