五月の氷 湧き上がる陽光と肌を打つ涼風の 萌え上がる葉と茎と 膨れ上がる花の五月 緑の蔭に冷たく濡れた氷を見つけた うら若き花の顔(かんばせ)の 陶然と眠る眉根の下 瞳を静かに閉じて 美しい尾根のような鼻に パンのように柔らかな頬 川に墜ちたオフィーリアの死に顔とは違って 肌の奥にはまだ生温かい血が通っていた それはあたかも生きたままの死 煌めく水となって今にも流れ出しそうに うす青く透きとおる光の闇よ 永遠に五月のからだを閉じこめて 何処まで時を渡るのか