花を散らした冷たい風の中で
薄着の僕はまるで裸のように
凍てついている
そんな感覚の遥か上の遠い空でチシャ猫が笑っていた
アルデバランが光る砂の粒
春は冬さ
氷のように冷たい空気にもかかわらず
氷のなかでこそ
春が匂う
清けさのなかで
夕べの月が欲望に悶える
君が乳房を与えるときに
僕はくちづけで応える
その甘い冷たさに
それを恋の季節だと僕は呼ばない
そうではない
それは僕の生と死の季節
あなたを抱きたい春の夜
生きるために笑うのだ
笑って息つまるほどに
笑いのない顔を越えてしまう
顔のない笑い
謎こそが愛
あなたと僕の
胸を裂くような
遠い愛
