薔薇に帰る | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 同じ星の上に咲いた薔薇の




 小さな棘と諍(いさか)いになり




 旅を始めた王子が地球で




 フェネックギツネに教わったのは




 知り合った相手には責任が




 時間を共にした分だけの責任が




 あるということだった








 それを聞いて王子は砂漠の夜に




 黄色い蛇にふわりと命を投げて




 薔薇のもとに帰らずにはいられなかった




 それがつまりは強い絆の物語





 目には見えない時間と愛との




 悲しみ歌う物語







 余りにも星の王子の表紙絵に似たコンスエロ




 でもその気性は薔薇の花




 サンテックスが愛機とともに海に落ち




 戻っていかなければいけなかった薔薇の花