人は待たねばならない
枯れ落ちる秋の葉の向こうに降る新雪を
凍てつく長い冬の向こうに春の兆すのを
蕾が花と咲く朝を
耐え難く洩らす忍び音を
ひとひらの花びらの風に舞って
黒き土の肌(はだえ)に落ちるまで
力づくで
人が時を早めることはできるかもしれないが
そうやって育った促成の苗は
何か大切なモノを欠いている
強さと弱さを綯い交ぜにして
昼の輝きと夜の翳りを彩る力
それは時なのだ
時は物ではなく手にとることはできないが
それでも
すべての出来事は<物>と<時>から成っている
いや生きた者たちはすべて
幹太く育った木から時を引き抜けば
木はたちどころに崩れ落ち
時が要素をつないでいたことを教えるだろう
存在の中で
獅子のごとくに眠れる時間を
人はいつも待たねばならない
その獅子が目覚める新しい朝
待つ間に時は経ち
そしてただ経っただけなのに
確かに時が何かをしていったことを
人は知るだろう
自らが
この星に産み落とされた
<物>と<時>からなる
ひとつの出来事であることも