時が満ち
昨日の後に今日が来て
今日の後に明日が来る
幹があり枝があって葉があるように
なのに
その当然の成り行きが
一億分の一にも満たない確率の
この上ない奇跡に思える時がある
時計の針が一秒ごとにすっと進むだけでも
銀河一億個ほどものエネルギーが
必要なのに違いないと思える日
チシャ猫の顔のない微笑みや
幹のない枝から茂る緑の葉は奇妙だけれど
連続と不連続の間で僕たちの生は揺れ動き
顔も微笑みもない猫や
葉の一枚として茂らぬ枝を見るような
顔も微笑みもない猫や
葉の一枚として茂らぬ枝を見るような
それほどまでに脆(もろ)い明日を愛(いとお)しみさえする
もし今がさっきの続きでなく
五分後が今の続きでないのなら
さっきの僕は僕でなく
五分後の僕は一から生まれ直すことになり
僕たちは自分たちの余りにも自由な今に酔いしれるか
でなければ
自分が誰だかわからない追放の身を嘆くことになるだろう
薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲ク ナニゴトノ不思議ナケレド
そう歌った白秋は
きっと時を旅して
時の移ろいの不思議さに心打たれることがあった人に違いない