透明な鏡 | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある



 自分の夜に一枚の透明な鏡を抱いて時を待て

 暗き地平からやがてこの星が昇り来る日

 その鏡にて天空の星を映して見るがよい

 何がお前を愛し待ち焦がれ見失い

 そして捨てたかを

 見るがよい

 そのなめらかに光り耀く肢体を


 そこにあるのはただのいのちにすぎない

 もはや自分でも他者でもない者たちよ


 幸いなるかな