あなたのために風は吹かない
私のためにも風は吹かない
誰のためでもない
あえて言うならば
風は風のためだけに吹く
目には見えぬのに
風の跡は木々の葉に枝に
ときには花びらに
静かな池の水面に
美しく悲しく残される
残そうとして吹いたのではない
ただ生きただけなのだ
風はあまりにも自由で
つかまえることも
ガラスの小瓶に
閉じこめることもできない
でもそこに
それゆえに
そしてそれだけの理由で
私は風を愛し続ける
私にはなりえなかった
姿なき生のありさまとして