浮橋の先に | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある

 
 独り言つぶやきながら

 時には誰かに

 このことを

 しかと伝えようとして

 宙(そら)へと架けた浮橋を

 少し疲れた足どりで

 昇っていった


 美しい浮き橋が尽き

 もうその先には何もないと知ったとき

 僕は立ち止まり

 言葉も失せたこのことが

 翔りゆく翼を

 手に入れるのを見た


 そうだ

 ここでこそ

 僕はすべてを失い

 すべてを手に入れる


 このことと

 ひとつになって

 世界の

 歌を