弥生ちんとんしゃん | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある








 季節うつりゆく
 私うつりゆく

 朝の誕生
 昼の情熱
 夜の終焉

 けれど
 有為転変を一言も嘆かず
 過ぎ行くものに
 執着のない愛を抱けば

 すべての季節と
 時の無常は
 至上の悦楽

 なぜなれば
 うつりゆく私ゆえ
 うつりゆくものごとは
 私の同行者

 愛し睦みあい別れ忘れることは
 いのちのすべて

 私うつりゆき
 季節うつりゆき
 ときうつりゆき

 萌え開き熟し落ちる
 ちんとんしゃん