僕が蛙になったなら | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 もしも僕が魔法使いの怒りをかって

 ゲロゲロ蛙にされたとしたら

 それまでの人としての人生は

 きれいさっぱり忘れて

 蛇に呑み込まれないように恐れつつ

 水辺を泳いでは

 うるさい蚊たちに舌なめずりして

 夕べにはケロケロと鳴き

 恋をしては

 オタマジャクシたちの父になる



 それが蛙の良い生き方かどうかではなく

 それだけが許されていて

 そしてまた生きるに値する

 <非>選択肢であるからだ

 それが命ということの

 生きていく意味だと思うから


 ケロケロ

 ケケロケロケロ

 蛙の僕は

 もう蛙