言葉は蜂の | 不完全な切り紙細工

不完全な切り紙細工

 誰も聴く人がいないのに歌いつづける歌がある
誰も見る人がいないのに踊りつづける踊り手がいる
誰も読む人がいないのに書きつづけられる言葉があって
不完全な切り紙細工を幾つも幾つもつなげていけば
そこに何かの絵が生まれるものと願う鋏がここにある


 ぶんぶんと遠く飛びゆき
 苦役の果てに集めれば甘くなる
 蜂の蜜

 細心にひと塊(くれ)ずつ
 規則を形にすれば六角形の剛体になる
 蜂の家

 軽はずみに甘さのみ求めれば
 いのち懸けて攻めてくる
 蜂のひと刺し

 言葉とは
 小さき者の形して
 レンゲの花の短き生を借りてくる
 採集者たちの
 深き意図

 いかにも人のままならぬもの