山深い
人の立ち入らぬ森の奥にて
一本の枝が
はらりと折れて落ちるとき
かすかに
しかし確かに生じる振動は
音なりや
人ひとり獣いっぴき聞くことのない
それを
音と呼べるかと
かの英国の
ばあとらんど・らっせるが
問いかけた
この問いを
あらためて思い返す
冬の午後
ざあざあと
枝を鳴らして過ぎ渡る
激しき風の行く末を
知る人は誰かある
聴く人がいて在る音と
知る人がいて在る風は
聴く人も知る人もないときに
遥か彼方の宇宙の果てで
くすくすと笑う神に似る
辿り着くことの
決してありはしない事どもの
確かに在ると
信ずるや
あなたの心の奥底の
光届かぬ場所にある
その静かなる想いに
僕は酔いしれる
還らぬ時の
壮絶な進行よ
あなたこそ
退くことを知らぬ愛