雪やこんこん
あられやこんこん
明日は何をしているだろう
雪が降ると
ときどき僕は未来を思い出す
太郎の屋根に雪降り積む
静けさのせい
それとも
降りこめられて進まぬ時のせい
過去よりも遠い未来を
夢の中から拾い出す
この時季には
雪の少ないところでも雪が降る
人間の醜さを覆い隠せと
それとも
誰にも見えぬ銀世界の中に
恋人たちを隠すためだろうか
そして
日本の社会では
次の一年を
あるいは数年を決める人も多いとき
そのときに
雪
僕は二度も雪に溺れそうになったことがある
一度は合掌造りの村で
はしゃいで雪の中走り回って
一段下がった田のあることに気づかなかった
もう一度は3500mくらいの雪原で
そんな軽装で
しかも子どもが行くべきじゃないと叱られたのに
思い返せば
その二回いずれも僕は未来を
望んでいなかった気がする
いや というより未来への展望を失っていた
でも雪の中を泳いで思った
こんなにバカバカしく
楽しいことがあるのなら
生きていくのも悪くはないかと
雪の中を足跡つけて
行くウサギや鹿の先にも
明日があるように
僕らにも明日があって
いいのだと
おずおずと踏み出す一歩の先を
雪はやさしく邪魔をして
まるで
いいのかこれでと
もう一度考えさせようとするように
雪やこんこん
あられやこんこん
でも
そうして
あっというまに
僕らは
雪解けの街を歩き出すだろう
明日
何をしていても
雪の向こうには
明日がある