以前
女友だちの家に泊めてもらった翌朝のこと
五月だったか
澄みきった朝の光が
むしろ冴え冴えと冷たくさえ思えるほどだった
その友だちは幼なじみだが
まだ若いうちにさっさと堅実な男と結婚していて
実は初対面のダンナと一緒にする朝食は初めてで
朝食の分厚いトーストを食べながら
キッチンと往復する彼女の「司会」も少なくて
話がちょっと途切れたときだった
中西部の北東の静かな郊外に住宅が並ぶ一角
大きな窓から塀のない家々をぼんやり眺めてた
目を少し左の方に向けたとき
視野にほぼ人程の大きさの赤い木が
ほんとうに一瞬
若い街路樹が燃え上がったのかと思うほど
思わず声をあげたら
その声が聞こえたのか
炎がメラメラと舞い上がり
何十羽ものカージナルが
竜巻のようにねじれた群れを作って
飛び立った
カージナル
カトリックの枢機卿の赤い法衣の赤い鳥
これほどまでに
群れたのを見たのは初めてだった
今でもその色が目に焼き付いている気がする
カージナルの群れをまとった炎の木
だから何だというわけではない
ただ余りにも強い印象だったというだけの
もし意味があったとしても
それは僕が死に
僕の記憶が独立でもして歩きまわる頃
やっと定かになる意味だろう