第3話「若葉のような笑顔」



朝、うとうとから目覚めると、僕等が乗っている前の車両が牽引車になっている。

どうやら寝ている間にムーンライト高知と切り離されたようだ。

松山駅到着。

早速、きっぷの交渉をしなくては、と改札に向かう。

よーべ氏が、駅長らしき方に二言、三言のやりとり。

事情を説明し、快諾を得た。

ムーンライトの車掌さんといい、松山駅の駅員さんといい、本当にいい人で助かった。

よーべが改札を出て、青春18きっぷを購入、日付印を3つ押してもらう。

これで、前夜のミスがようやく帳消しとなった。

めでたし、めでたし。

と、まだ、旅は序盤である。

こんなところで、躓いてはいられない。

宇和島発四万十トロッコ号に乗るため、宇和島までは特急を利用する。

途中、卯之町で降りて、鈍行に乗り換える。

9時42分、宇和島着。

ここで、四万十トロッコ号は11時27分発なので、まだ1時間半くらい時間がある。

ここで、ブランチを取るべく、駅前商店街をぶらぶら。

途中、ずっと「宇和島ミュージック」ならぬご当地ソングがかかっていた。

あれは、誰が作曲したのだろう?なんとなく耳に残る曲である。

さて、この時間から空いてる食いもんやを探すのであるが、なかなか見つからない。

仕方なく駅方面に戻り、近くの大衆食堂「わかば」に入る。

店内は、昭和の面影残るいたって普通の食堂だ。

しかし、おばちゃん、おっちゃんの他に、この店内に似つかわしくないとても若い女性が働いていた。

僕等3人はあっけに取られた。

その方が僕らにお水を持ってきてくれた。

「いらっしゃいませ」

美しすぎて、まともに直視できない。

愛想もいいし、笑顔もいい。スレンダーで、キレイ系。

何故、こんなとこで働いてるの??

きっとマスターや、おばちゃんの人柄がいいのだろう。

3人による話し合いの結果、全員一致で「ミス宇和島」に選出。

カレーうどんを注文。普通に美味しかった。

時間が来たので、美女との別れを惜しみつつ、店外に出る。

また宇和島に来たら必ずココに戻ってこよう。

そして、僕等は四万十トロッコ号に乗り込み、江川崎駅に向かう。

途中、満腹感と、心地よい風を受けて、思わずうとうとしそうになるが我慢。

1時間ほどトロッコに揺られ、江川崎に到着。

僕とよーべは5年ぶり3回目、モト氏は11年ぶり2回目の出場…じゃなくって到着だ。

あれから変わってないね。

そうそう、こののどかな景色、風。懐かしい。

駅舎がログハウス調に変わった?

リンリンサイクル(レンタサイクル)の受付場所が変わっていた気がする。

ここで、レンタサイクルを借りるのだ。



しかしこの後、思いがけないアクシデントに襲われる事に、僕等はまだ気づく由もなかった。



第4話につづく・・・。
第2話「さあヴェールあげて」



乗車券を持たず、指定席券のみで、ムーンライト松山に乗り込んだ僕等であるが、当然、車掌さんが検札に来る。

ここで、事情を説明し、松山駅で相談してくださいとのお返事。

非常に好意的な車掌さんで助かった。

しかし、周りに乗っていた乗客のイタい視線を感じたのは言うまでもない。

さて、神戸まで、高校の友人であるD氏が同乗。

ここで、D氏は久しぶりにユーミンのロンドの踊りを披露した。

Dは踊りを忘れていたが、よーべがロンドを歌うと、思い出したらしく、急に踊りだしたのである。

やはり体に染み付いているのであろう。

今回はDは旅の参加は無理であったが、次回はダメもとで誘ってみることにする。

1ヵ月後の再会を約束し、Dを神戸にて見送る。

ムーンライトに乗って、神戸で降りる奴も珍しいのではあるが・・。



深夜3時過ぎ、真夜中の岡山駅に列車は滑り込む。

今回の旅は、メインは四万十川、そして吉野川のラフティングである。

実は、高知、四万十川へは11年前、5年前に旅に出ている。

11年前は、僕等が高1の夏。

あの時も、記録的な渇水だった。

そして、今年の夏の猛暑、渇水。

四国の水がめ、早明浦ダムが貯水率0%になったのは、11年ぶりだそうだ。

今回の旅に、因縁めいたものを感じずにはいられなかった。



僕等を乗せたムーンライト号は、静かにムーンライト高知を切り離し、一路終点松山を目指しJR予讃線を走っていく。



第3話につづく・・・。
第1話「波乱の幕開け」



2005年、8月某日。

僕等は旅に出る。

スパワールドにて、高校時代の友人たち総勢5名(旅参加者プラスD氏・B氏)が裸の再会を果たし、新世界にて串カツを食べ、大阪駅に意気揚々と乗り込む。

旅の参加者は僕を入れて3名。(僕・よーべ氏・モト氏)(仮名です)

貴重なお盆時期に旅に参加してくれる友人がいるのは有難い。

時間は深夜0時10分を指している。

僕等は「快速ムーンライト松山」に乗るのだ。

しかし、発車5分前、酔っぱらい3人のうち、幹事的役割である僕とよーべ氏は焦りを隠せないでいた。

なぜなら、僕等は致命的なミスをこの時点で犯していた。

青春18きっぷを買うためのみどりの窓口が時間が遅く、もう閉まってしまったのだ。

よーべ氏の駅員への必死の説得も叶わなかった。

切符の手配は、僕とよーべ氏が分担して買っていたことと、忙しさにかまけて、連絡がうまく伝わっていなかったこと、何よりみどりの窓口が開いている時間を把握していなかったことをこのときになって後悔・・。

しかし、この列車に乗らないことには旅は始まらない。

僕等はここで、苦渋の決断を迫られることになる。

そう、切符を持たずに乗ってしまった。

はっきり言って前代未聞である。

というか、ただのアホである><。

これからの旅に一抹の不安がよぎる。



0時15分、定刻通りに切符を持たない僕等を乗せた「ムーンライト号」が大阪駅を発車した。

僕等の旅はこうして華々しく幕を開けるのであった。



第2話につづく・・・。