『ルイス・ウェイン』観ました。
公開中ですが、
とても楽しみにしていた映画なので、
感想にはネタバレ含みます。
19世紀末、イギリスの上流階級に生まれたルイス(ベネディクト・カンバーバッチ)。
父を亡くし、
母と五人の妹を養うためにイラストレーターとして働くようになります。
両手で素早く、生き生きとした絵を描くことができる彼は、
しかしながら集中力にムラがあり、
新しい技術による電気という概念に夢中になっていました。
そんな彼の家に、
妹の家庭教師としてエミリー(クレア・フォイ)がやってきます。
独特の感性があり、いろんな学問に造詣が深い素敵な彼女に、
ルイスは恋をして、
周囲の反対をふりきって、ふたりは結婚。
しかしエミリーは、末期ガンを宣告されてしまいます。
家の庭に迷い込んできた子猫にピーターと名づけ、
病が進行していくエミリーを元気づけるために、
ルイスは人間のようにふるまう猫の絵を描き始めます…
原題は『The Electrical Life of Louis Wain』。
つまり、『ルイス・ウェインの電気的な生涯』。
ルイス・ウェインはユニークな猫のイラストで大変有名な画家ですが、
妻の死後は統合失調症を患い、
精神病院で余生を過ごしたと言われています。
そんな彼を、
心を病んだ天才を演じさせたら右に出るものがいない、
ベネディクト・カンバーバッチさんが演じています。
変わった話だったな…
五人の妹のうち、一番上の妹・キャロライン(アンドレア・ライズボロー!最近この人、よく見かけるな!)が、
家のことを取り仕切っているんですけど、
登場するなり、彼女がいっぱいいっぱいなことがわかるんです。
女性は結婚しなければ身をたてられないような時代で、
良い家柄だと世間体があるから普通の労働もできない。
この家の唯一の男手がルイスなので、
彼女はルイスにもっとしっかりしてほしい。
ルイスは彼なりに努力しているけど、
彼女に始終怒鳴られてるせいで、生きるのがしんどい。
最近話題の家父長制のまずいところがでてますよな。
このシステム、女性蔑視なだけでなく、
弱い男も生きられない。
どうかと思うよ…
そんななかで、手に職があって自立していて、
ちょっとおもしろいエミリーに、
ルイスが惹かれるの、わかるような気がする…
エミリーと子猫のピーターと、
猫の絵を描いて暮らすもんだと思ってたのに、
映画のなかばでエミリーが亡くなり、
絵の版権を確保してなかったせいで、
経済的にも問題が起きて、
どんどん心の均衡が崩れていくルイス。
言動もおかしくなり、
貧困者向けの精神病院に入れられてしまいます。
彼のイラストの背景の不思議な幾何学模様や、
映画の画面そのものの色がときどき光で褪せたり、
変わった色になったりするの、
おそらく統合失調症の彼が見ていた世界を表現しているのだと思いますが、
美しくもあり、
居心地悪くもある、
そんな雰囲気で、なるほどなあと思いました。
ルイスがエミリーとピーターと過ごした森のワンシーンは、
古いモノクロ写真に後世の人が色を塗ったような、
違和感のある美しさで、
ほかの世界と見えかたが違うということなのかなと思った。
ルイスはこの森に“電気”が見えると言います。
それは彼の妄想みたいな概念なんだけど、
ルイスを助けてくれたダン・ライダーさんが、
「君が電気と呼ぶもの、僕はそれは愛だと思います」とおっしゃって。
合ってるかどうかはわからんけど、
胸にストンと落ちてくる感じで、
とてもよかったです。
この、電車で乗り合わせて、
ちょっと犬の絵を描いてあげただけの縁だったダン・ライダーさんや、
新聞社の編集長(トビー・ジョーンズ!)、
H.G.ウェルズ(ラジオで、ルイスが我々の生活を「happier(より楽しく)、cattier(より猫だらけに)」したって言うくだり、かわいかった!)、
支持してくれる人たちもいたんだよ。
ルイスは「地球はどうしてこんなに生きづらいのか」と言ってて、
それはよくわかるけど、
でも君の作品を愛して、君を助けようとした人たちはいるよ!
応援してたよ!と訴えたい気持ちになりました。
チラシ2種類とムビチケ、
前売り特典のミニ巾着。
どれも素晴らしくかわいー!!!
このトリックアートふうのパンフレット、
凝ってるね!素晴らしい!
思えばこのパーフェクトショットをイギリスの映画雑誌で見かけて、
この映画、絶対観たい!と思って待ち続けて約2年…
長い道のりでした…
このポスターもかわいいね!
センスが爆発してて、
ルイス・ウェイン同様にウィル・シャープ監督もすごいねと思いました、
へっぽこハンターコトワでした。