『シュヴァルの理想宮』観ました。
旧作につき、ネタバレ含みます。
19世紀末、フランス南東部に暮らす郵便配達員のジョゼフ・シュヴァル(ジャック・ガンブラン)は、少し人と違うところのある寡黙な人物でした。
彼は妻を病で亡くしたあと、配達の際に知り合った未亡人フィロメーヌ(レティシア・カスタ)と結婚し、
やがて娘アリス(ゼリー・リクソン)が生まれます。
ある日、配達の途中で石に躓き、あやうく死にかけたジョゼフは、
その石の奇妙な形に興味を持ちます。
娘アリスのために、石を積み上げて宮殿を作ることを思いつき、
周囲の反対を押しきり、独学で建設を開始。
郵便配達の仕事のあとにその作業をするので、
彼は疲労困憊していましたが、それでも建設を続けるのでした…
郵便配達員が石を積んでいって30年以上かけて奇妙な宮殿を建てたという驚きの実話です。
僕は小さい頃に図書館にあった本で読み、
いつか行ってみたいなと思っている建造物のひとつです。
その宮殿の写真を使わないこのポスター、
ちょっといかがなものかと思ったけど、
建造物としての神秘(たとえば、とても小さい出入り口があって人間は通れないので、妖精用の入り口なのではないかとか、謎めいた碑文があちこちに彫られているとか)はあまり扱っていない映画だったので、
ある意味これで正しいのかもしれません。
アンコールワットやモアイ像など、
実際に彼が目にしたことはないものを彼なりのイマジネーションで作り上げるのがすごくユニークで興味深いです。
ただ、こんな人生はつらいなあと思った…
体を酷使して仕事をしながら建設作業をしているジョゼフ、
みんなから早死にすると言われ続けますが、
でも結局は家族のほうがどんどん病気や事故で亡くなるんです…
特にまだ幼い娘さんのアリスに先立たれるのはほんとうにしんどい。
順番は守ってくれよ、若い人たち…
奥さんのフィロメーヌさんが大変働き者で、明るくて、
素敵な人物すぎて、
彼女なしで生きていくのほんまにつらい…
前の奥さんとの間に生まれた息子さんとはコミュニケーションがうまくとれず、
長い時間をかけてやっとわかりあえてきたのに、
その彼も事故で亡くなり…
でもその息子さんが遺してくれたお孫さんたちが、
ジョゼフの救いになって、よかった。
誤解されやすいキャラクターのジョゼフですが、
家族や、郵便局の上司や、なにかと気にかけてくれるご近所の女性(親戚なのかな?)と、けっこう周囲の人に恵まれていて、
そこもよかったですね。
彼らがいなくなっても、
こうして宮殿は残って、
何百年もあとの僕らがそれを見ることができるというのは、
おもしろいことだなあと改めて感じました。
形あるものはいつか崩れ去るというの、たしかにそうなんですけど、
モノによってははるかに人間より長生きして、
後世の人に影響を与えるんやから。
ほんと、いつか行ってみたい。
へっぽこハンターコトワでした!
(*`・ω・)ゞ