それはきみじゃない | へっぽこハンター日記

へっぽこハンター日記

新米ハンターのコトワがハンティングした音楽、映画、書物や芸術一般について語ります。

『オブリビオン』観ました。

ネタバレしますので、ご注意ください。
感想の性質上、ほとんどあらすじ言っちゃうことになるから観てない人は読まないで☆



宇宙人による侵略があり、その戦争で荒廃し住めなくなった地球。
土星の月・タイタンに移住するため、
地球人はテットと呼ばれる三角錐のコロニーや宇宙ステーションにいます。
地球では最後の資源である海水をプラントに汲み上げる作業をしており、
そのプラントの見張りをしているジャック(トム・クルーズ)とヴィカ(アンドレア・ライズボロー)のふたりだけが残っている状態。

ある日、地球に残った宇宙人たちが送ったと思われるビーコンの座標に、
宇宙船が墜落します。
そこに乗っていたのはコールドスリープをしている地球人の宇宙飛行士たちで、
その中にはジャックの夢に何度も現れる謎の女性(オルガ・キュリレンコ)もいました・・・


オブリビオン [DVD]/トム・クルーズ,モーガン・フリーマン,オルガ・キュレンコ

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話題になってたけど、
宇宙モノが苦手ということもあって先延ばしにしている間に公開が終わってしまったこの映画。
ディスカスさんにお願いして観ました。

意外におもしろかったです。

オチ以外は・・・


宇宙人との戦いで核兵器を使ってしまったので、
地球の大半に住めなくなったという話を聞いて、
ほらみろ、と思った冒頭。

毎朝見ているニュース番組で辛坊さんがチェルノブイリに行ったって特集やってまして。
原発事故から30年経ったけど、いまだにどうにもできてないのだよ。
コンクリで固めてなんとかフタをしただけ。
そのコンクリが30年で耐用年数を超えるので、
今新しいコンクリのフタを建設中なんだって。
ニュークスって、そういうことなんだよ。


しかし、けっこう冒頭から謎めいてます。

この仕事に就くためにジャックとヴィカは記憶を削除されてるらしい。
昔のことはほとんど知らない。
なんで?

でも、ジャックは興味があって調べたのか、スーパーボウルの話をしたりします。
エルヴィスのバブルヘッド人形をパトロール機のコックピットに置いてますが、
「ボブ」と呼んでます・・・
ひょっとしてエルヴィスを知らない?

あと、限られた業務とはいえ、
地球全体にたったふたりの監視員って・・・無茶やん。
なんかあったときどうするの?

実際なんかあったら、テットからドローン機が投入されます。
しょっちゅう宇宙人に撃ち落とされたりなんだりするので、
そのドローン機のメンテもジャックの重要な仕事。
どうもヴィカはそれはできないらしい。
ジャックになにかあったらどうするんだろうね・・・


そんで、落ちてきた宇宙船に乗っていた女性の登場で、
物語が動きます。
彼女は記憶を消される前のジャックの妻・ジュリアでした。
しかしコールドスリープの具合からみて、ジュリアは少なくとも60年は眠っていたはず。
ジャックの奥さんであるはずがない・・・

でも真相はもちょっと別のとこにありまして。

実はとっくに宇宙人が地球を支配下においていて、
テットはその宇宙人たちのマザーコンピュータだったこと。

彼らが手先として選んだのが、
たまたま土星に行く途中だった宇宙船オデッセイに乗っていた宇宙飛行士のジャックとヴィカ。
拉致して彼らのクローンをつくり、
戦後約60年間、残りの地球人の抹殺と地球の資源の回収という仕事をそのクローンたちにさせていたこと。

そんで、今までジャックが宇宙人だと思い込んでいた地球にいるプレデターみたいな連中はマスクをかぶった生き残りの地球人たちだったということ。

その地球人たちのリーダー(モーガン・フリーマン)に、
テットの破壊というレジスタンスに勧誘されるジャック。


ちなみにこのジャックはパトロール機・49号に乗っているジャック。

途中でパトロール機・52号に乗っている別のジャックにも遭遇します。

自分がクローンで、
奥さんへの思いはあるけれど、自分はホンモノではないと思っているジャック49。

でも、地球でひろってきた本を読み、
過去の地球の文化に興味のあるジャック49に、
リーダーはほかのクローンにない人間性を見出したと告げるのです。

そこまできたら、
クローンであっても、個性があるのだと思える展開じゃないですか。

そして、そんなジャック49に、
奥さんも愛を感じたのだと思うじゃないですか。

それがですよ。

テットとの戦いに終止符を打つべく、爆弾を運び、
テット内で爆発させたリーダーとジャック49。


残された奥さんはいつの間にか授かった小さい娘さんと地球で暮らしていて。

地球人の生き残りの人たちのメタルギアソリッドみたいな軍曹たちとともに、
ジャック52が彼女に出会うっていうエンディングなんです。


ジャック52は、たぶんジャックのクローンすべてがそうであるように、
奥さんの夢を見ていた。
だから彼女を見て、心が動いたのでしょう。

でもですよ。
奥さんはそれじゃないだろと。

彼はジャック49じゃない。

スーパーボウルの話をして、ブルーオイスターカルトのレコードを聴いて、
地球を愛して、ホラティウスを引用しながら、
地球人の未来のためにすべてをささげた、あの彼じゃない。

それでええんかい!!!!って。


ラスト手前までよくできていると思っただけに、
ほんまになんかこのオチが納得いかなくてですね・・・


これはあれです、
『スタートレック:ネメシス』と同じ、納得いかない感。
(必然的にこっちもネタバレしているぜ・・・)

クローンとかって、同一人物じゃないんで。

強いていうなら、遅れて生まれてきた双子です。
(これは杉下右京さんがなさったたとえです。右京さん、冴えているう!)

別物だッつうのッ!!!!

このオチさえなければよかったのになあと思う作品でした。
蛇足だよ。
これでハッピーエンド感を出したかったんか?
いやいや、バッドエンドだぜ。
(*´Д`)=з



あ、関係ないけど、
奥さんが「故郷を思い出す」とかって、
ワイエスの『クリスティーナの世界』という絵を眺めるシーンがあって、
地球での我が家にその絵を飾ってまして。

僕にはこれの良さがとんとわかりませんが、
アメリカ人には大変評判の良い絵なので、
これを眺めるシーンを観て、
「ああ、アメリカっぽいな」とふと思ったのでした。

なんか、日本人は印象派が大好き、とか、
お国柄によって好きな絵のタイプってあるよなーって思った、
へっぽこハンターコトワでした!

僕はラファエロ前派かルネッサンス絵画が好きです!
(ノ^^)八(^^ )ノイエーイ