彼と飲みに行ったのは土曜日。
娘を旦那にお願いして、家をでる。
一応、人の目もあるので3つ先の駅で待ち合わせしました。
飲みに行くというのに彼は車で来てました。
車は彼の会社の駐車場に停め、
最初に彼が連れて行ってくれたのは、
イタリアンダイニング。
落ち着いた感じの店で、カップルシートのある店でした。
初めて並んで座るあたし達。
2人で1つのメニューを見て、肩と肩が触れ合う。
顔を上げるとすぐそこに彼の視線。
照れくさいのもあって、あたしは目が悪いからと言って
メニューは彼に任せました。
彼は、いつになく上機嫌。
そこで初めて彼の恋愛の話を聞きました。
彼の恋愛は、過去に二つだけでした。
1つは奥様と、そしてもう1つは・・・
あたしと知り合う2年まえまで付き合っていたという
10歳年下の女の子。
そう、彼は過去にも不倫を経験していたんです。
離婚をせがまれて、そこまで気持ちもなかったから別れたと・・・
そして彼は言いました。
「俺たちは、お互い結婚もしてるし、
お互い守らなきゃいけないモノがあるから、
お互いの立場もわかりあえると思うんだ。」
こんな言葉、
今彼の口から聴いたらきっとすぐに冷めると思います。
でも、その時のあたしは違ってた。
気にならなかったと言えばウソになるけど、
初めから不倫を目的とした相手を探してたと知って
多少のショックは受けたけど、
日常生活では味わう事のできない、
自分の女としての存在価値。
誰かに思ってもらえる心の癒しを、
あたしは失うのが怖かたんだと思う。
家事に育児に仕事。
全て1人でこなし、
物理的にも体力的にも、時間的にも精神的にも。
いつもいっぱいいっぱいだった・・・。
そんなあたしには、
彼との時間だけが唯一癒される時間で、
唯一の心のオアシスでした。
あたしはね。
それまで、男性というものを、心から信じた事がなかった。
旦那の事もそう。
それまで付き合ってきた男達全て・・・
「きれいだね。」
「かわいいね。」
「大好きだよ。」
そう言われて心地良くはなっても、
いつもあたしはどこか冷めてた。
どうせ、体が目当てでしょ?
やりたいだけなんでしょ?
そういう感情が必ずある。
だから・・・きっと、この人も
今までの人と同じ。
結局は体が目的なんだろう・・・。
そう思ってた。
けどね。
彼の巧みな話術や、ルックス。
いろんな面に惹かれてたのは確か。
この人なら、少しくらい遊ばれても・・・
お互い結婚しているんだし、
面倒な事にはならないかも。
そんな風に思ってた。
それから彼は
「オレの事どう思ってる?
オレはきょうちゃんが好きだ。オレと付き合って欲しい。」
そう言ってくれました。
あたしは言葉に詰まったけど・・・
「え・・・あ・・・う、うん。」
どういうわけか・・・頷いた。