QB 我が東北は学生リーグがはやばやと終了、社会人もリーグ戦を終え、あとは交流戦、ボウルゲームを残すのみとなりました。



set 関東、関西の学生、社会人はこれからが終盤のビッグゲームばかりですね。私の所属していた学生チームは、なんとか3勝目を上げて、2部残留が決まりました。1部では上位同士の対戦が始まります。今年の甲子園は?ファイナル6、ジャパンXは?と話題に事欠かない季節が到来しました。



cheer 私のブログもおかげさまで、3月目を迎え、私小説は第1回がまもなく最終回となります。審判という立場上、試合の中身や判定についてのコメントはできませんが、ルールとしてのケース・スタディやルールの解説、これから審判やってみようかな?って人向けの入門手引きになれば幸いと思ってます。



fg 「みんなのテーマ」にアメフトがあったので、早速登録しました。ペタもここつながりで、少しずつですが増えてます。感謝、感謝。もちろん皆さんの疑問、質問、ご要望にはブログでお答えしていきますので、遠慮なく、BBSに書き込んでください。




フットボールがルールに基づいたスポーツである以上、そのルールに反する行為があった場合には、反則が適用され、内容に応じた罰則が課せられます。
いろいろな球技の中でもフットボールはフィールド内に配置される審判の数が最も多い競技といえるでしょう。
それは、同じくらいのフィールドを使う他の球技に比べて、ボールの周辺以外でもボールを進めるための行為が認められているからです。つまりフィールドのあらゆる場所で反則が発生する可能性があるということでもあるわけです。

では、具体的に反則が発生した時の処理の仕方を記してみましょう。
フットボールの反則は、発生場所を明確にしなければならないものと、そうでないもの、被反則チームのチョイスが不要な自動的に施行されるものの3つに分けられます。

①発生場所を明確にしなければならない反則の処理
ALL:(反則を現認した審判のみが)反則が起きたヤードライン上にフラッグを落とします。

    必ずしも自分の目の前で発生するとは限りません。何ヤードラインで発生したかが重要なポイントです。
    現認した審判は反則をしたプレイヤーの所属チームとナンバーは必ず覚えておきましょう。
    フラッグを出した審判の近くにいる他の審判がフラッグの位置をキープします。
    そのダウンのボールデッドの位置についてもRとU以外のデッド地点に一番近い審判がキープしておきます。

    フラッグを出した審判はRに反則の発生地点、反則したチーム、ナンバー、反則の種類を報告します。


②発生場所を明確にしなくてもよい反則の処理
ALL:(反則を現認した審判のみが)フラッグを投げます。
    フラッグを出した審判はRに反則の発生、反則したチーム、ナンバー、反則の種類を報告します。


以下の処理は①、②ともほぼ同じです。


R :フラッグを出した審判からの報告を聞きます。
U :Rとともに報告を聞き、両チームのキャプテンを呼びます。
HL :フラッグが出たのを確認したら、ダウンボックス、ヤードチェーンクルーが動かないように指示します。
BJ :反則の報告を聞き、自分のスコアカードに発生Q、反則チーム、ナンバー、反則内容、攻守の別、

受諾か辞退か、反則をコールした審判を記入します。

R :両ベンチに向かって発生した反則のシグナルを行います。
U :Rのプレシグナルの間に両キャプテンに反則の説明をし、受諾か辞退かを確認しておきます。

この時の一般的な説明は「(例)レッドチームの54番がフラッグの地点でホールディングの反則をしました。

今のダウンは3ydゲインでデッドになっています。ホワイトチームのチョイスで、受諾すればプレビアススポットから

10ヤード下がってダウンを繰り返します。辞退すればデッドの位置で次のダウンになります」という感じでしょうか。
その後、キャプテンのチョイスの結果をプレシグナルを終えたRに申告します。

R :メインスタンドに向かって反則内容、反則したプレイヤーのナンバー、チョイスの結果をアナウンスします。

一般的には「レッドチームの54番がフラッグの地点でホールディングの反則をしました。プレビアススポットから

10ヤード罰退してダウンを繰り返します」もしくは「レッド、ナンバー54、ホールディング、10ydペナルティー、

ダウンリピート」という感じです。
U :Rの反則説明の間に反則の施行地点からボールを移動します。
LJ :反則の施行地点と同じヤードラインのサイドライン上に立ちます。
HL :Uとともに自分の頭の中で咀嚼したその反則の施行地点から罰退分の距離をサイドライン上で移動します。
FJ SJ :自分が担当するチームの責任者に反則の内容を報告します。

LJ :UとHLの施行が終わったら、自分の頭の中で咀嚼した罰退距離をサイドライン上で移動、

UとHLの施行と一致しているかどうかを確認します。
HL :LJの確認が終わったら、ダウンボックス(結果によってはチェーンクルーも)を移動させます。

①に該当する反則は、ホールディング、背後からの不正なブロック、パーソナルファウルなどの10yd以上の罰退を伴うものとインテンショナル・グランディング、不正なキック、不正なパスなどの反則発生地点が罰退の施行地点になるものです。


②に該当する反則は、オフサイド、不正なシフト、不正なフォーメーション、メジャーペナルティではラフィング・ザ・キッカーなどになります。


③被反則チームのチョイスが不要な自動的に施行される反則の処理
ALL:(反則を現認した審判のみが)フラッグを投げます。
    フラッグを出した審判はRに反則の発生、反則したチーム、ナンバー、反則の種類を報告します。

この場合には、被反則チームの選択がいらないわけですから、反則の報告があったらUとHLはすみやかに施行、

Rは場内へのアナウンスを行ってください。

つまり


R :メインスタンドに向かって反則内容、反則したプレイヤーのナンバーをアナウンスします。

一般的には「レッドチームの54番にフォルススタートがありました。5yds罰退し、ダウンを繰り返します」もしくは

    「レッド、ナンバー54、フォルススタート、5ydsペナルティー、ダウンリピート」という感じです。
U :反則の施行地点からボールを移動します。
LJ :反則の施行地点と同じヤードラインのサイドライン上に立ちます。
HL :Uとともに自分の頭の中で咀嚼したその反則の施行地点から罰退分の距離をサイドライン上で移動します。
FJ SJ :自分が担当するチームの責任者に反則の内容を報告します。

LJ :UとHLの施行が終わったら、自分の頭の中で咀嚼した罰退距離をサイドライン上で移動、

UとHLの施行と一致しているかどうかを確認します。
HL :LJの確認が終わったら、ダウンボックス(結果によってはチェーンクルーも)を移動させます。


※これに該当する反則は上記の例のフォルススタート、接触のあったディフェンスのオフサイド、ディレイ・オブ・ゲーム、交代違反などです。



chain 1Q15分で行われる日本のボウルゲームは、通常のリーグ戦の12分に比べて各Qが3分長い。たかが3分とあなどるなかれ。午後1時10分に始まった第52回甲子園ボウルも後半のキックオフ時には時計の針は午後3時を回っていた。



 第3Qの7分過ぎに試合が動いた。法政のゴール前3ydまで攻め込んだ関学のQB#7高橋から#89中川にタッチダウンパスが決まったのだ。TFPを今度は太田が慎重に決め、7-0。先制され、すぐに追いつきたい法政はエースRB#29池場のランが関学ディフェンスにマークされ、ビッグゲインに結びつかない。ジリジリと進んで関学陣内に入り、ようやく第3Q終了間際にQB#4岡本から#84升田へのショートパスが決まり、TFPも決めて7-7の同点に追いついた。



kg2 第4Qに入り、関学の攻勢をしのいだ法政が反撃に出る。7分過ぎ、RB#34堀田が8ydsを走りきって逆転のタッチダウン。7-14とこの試合初めて主導権を握った。ところが、その直後、関学が関西王者の意地を見せる。じっくり時間をかけてゴール前までボールを運び、ゴール前1ydからRB#34猪狩がダイブで飛び込みタッチダウン。残り時間は3分を切っている。勝負所と判断した関学は、ためらわずに2ポイントコンバージョンのTFPを選択した。プレイは右オープンへのランパスオプション。右に流れたQB高橋は、レシーバーがマークされているのを確認すると、ためらわずに右のコーナーに向かった。殺到する法政守備陣。高橋は倒れこみながら右コーナーのパイロン内側にボールを差し出した。HLの両手が上がる。2ポイント成功、15-14と関学が再び試合をひっくり返した。

 次の法政のシリーズが得点に結びつかなければ、関学の優勝が確定的となる残り時間。この私小説で参考にさせていただいている、関学オフェンス・コーディネーターの小野宏氏の「59秒の真実」から一部引用させていただき、その後の様子を追ってみよう。


toma2 関学が逆転した後のキックオフを法政は自陣32ydまでリターンする。「騒然としたスタンドの空気の中で、法政はジワジワと進んでいた。そして関学陣43ydで第3ダウン、1yd。残り時間は1分14秒」(「59秒の真実」より)。残り時間、エンドゾーンまでの距離を考えて、関学守備陣はパスを警戒した深めのディフェンスを敷く。私たちもそれに呼応するように、深めにセットして、次のプレイを待った。スナップされたボールはアップバックにフェイクされ、QB岡本はオープンへ展開した。ロールアウトパス?オプション?一瞬躊躇した守備陣の動きを岡本は見逃さなかった。TB池場にすばやくピッチされ、池場はギアをトップに入れた。ゴールまでの43ydsを池場と平行にサイドライン上を走り、タッチダウンをコールした。残り時間を考えてもこれで決まりだな。私ばかりでなく、観客すらもそう思ったことだろう。TFPはキックを選択。「(後から考えればだが)法政ベンチはミスを犯した。キックしてしまったのだ」(同)。スコアは15-21。残り時間は59秒を示しており、法政側の応援席は狂喜乱舞。上半身裸になって現役時代のユニフォームと思しきオレンジのジャージを振り回す姿が見えた。


そして、ここから「59秒の真実」の幕が切って落とされることになる。        (続く)



私の「59秒の真実」(5)へ


set フィールド上での両校のチーム練習は終わろうとしていた。本来野球で使用される外野部分を使ってフットボール用のフィールドが作られており、スコアボードの真下が関学側のベンチ、反対側に法政のベンチという配置で、法政ベンチの後方には特設の観客席が設営されている。観客数はというと、もちろん本来の野球スタンドに陣取った関学(関西)ファンが圧倒的に多く、全体の9割近くを占めている。法政(関東)のファンは特設スタンドを埋めているだけという感じだった。



set2 試合開始15分前、オープニングセレモニーが始まった。普通のボウルゲームで見られるようなゴールポスト下から力強い関学の入場が終わり、法政の入場を見た観客は、みな一瞬あっけに取られた。なんとプレイヤー数人がヘルメットを後ろ前にかぶり、騎馬戦さながらのプレイヤーが組んだ馬に乗って入場してきたのだ。「ボウルゲームはお祭り」という感覚なのだろうか。法政側応援席はあっけに取られた次の瞬間、大いに盛り上がって声援を改めてプレイヤーたちに送ったのだった。関西連盟の幹部の皆さんは渋い顔をして、その行進を見つめていた。


 両チームが自分のチームエリアに入り、審判7人が紹介を受けて自分のポジションについていく。私のポジションSJは、通常紹介が一番最後で、セレモニーのセット位置がバックスタンド側の中央付近だ。全力でそこまで行かないとセレモニーの開始が遅れてしまう。独走のプレイを追うより速くフィールドを横切った。





cheer 関西のチームは昔から大事なゲームや大きなゲームの前にスキンヘッドにすることがあった。ゲームにかける心意気なんだろうが、いかにも日本的なやり方だという印象を前からもっていたのも事実。そして、今回の関学は4年生と思しき連中がスキンヘッドになっていた。マネージャー(もちろん男子です)までスキンヘッドなのには、思わず笑ってしまった。


 私がキャプテンたちをエスコートする係り。キャプテン#73米沢、バイス#59梅田、#7高橋が並んだ。コイントスは関学が勝ち、後半のチョイスを選択した。


 ここで甲子園ボウルのローカルルールを解説しておこう。通常は関西チームがホームでカラージャージを着用し、メインスタンド側をチームエリアとする。しかし、甲子園ボウルではTV中継のため、ホストの関学はバックスタンドをチームエリアとして、審判の対応も左右逆転する体型になる。すなわち、プレースキックの時には、通常のSJはダブルアンパイアといって、アンパイアと同じ位置でラインメンの動きを見るのだが、甲子園ではポール下でキックの成否を判定するのだ。このことが、あの運命的な一瞬に立ち会うという機会を私に与えてくれることになるとは、この時点での私には思いもよらないことだった。




hel いよいよ試合開始。実はそのときあたりから第1Qが終了する頃まで、雲の上を走っているような感覚が私を支配していた。(甲子園の芝ってこんなにフワフワだったかなあ)目はしっかりプレイを追っているし、笛も的確に吹いている。ただ、足元だけがフワフワしているのだ。後から考えれば、やはり緊張していたのだろう。やっと地に足がついてきた第2Q、関学が法政のゴール前で得点のチャンスを得た。第4ダウン、両チーム無得点、関学は迷うことなくキッカー#21太田をフィールドに送り、フィールドゴールトライとなった。この年の関西学生リーグ戦では重要なところでフィールドゴールを決め、確実なTFPキックで関学を優勝に導いた関西を代表するキッカーだ。


 審判は予想はしても予断を持ってプレイを見てはいけないのだが、このとき私の脳裏には(ああ、これで、関学が先制して、そのままゲームが関学有利で進むのかなあ)という思いがあったことは否定できない。ところが太田のキックはゴールポストの左をわずかにそれ、絶好の先制機をのがすことになった。その後も一進一退の攻防が続き、前半は0-0で折り返す。緊迫したゲーム展開が後半も予想され、試合開始直後とは別の意味での緊張感が我々を支配しようとしていた。                              (続く)

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いよいよ当日の朝を迎えた。前夜の酒のおかげでまあまあ睡眠は取れた方だろう。阪神電車に乗り込む。関西では、関東との対抗意識からか、戦後学生スポーツでは野球でもなく、ラグビーでもないアメフトが常に人気を博してきたという。阪神電車もこの日のために、臨時電車を走らすほどだ。高校野球のメッカ、そしてなにより我が阪神タイガースのホールグラウンド。駅にも臨時改札が設けられ、球場までの百数十メートルの間には「チケット余ってへん?」「チケット買うで」とコテコテの関西弁のダフ屋が何人も出ている。まだキックオフまで3時間以上前だというのに・・・

審判員証を受付の学連に見せて控室へ。関学出身の審判は当然ながら、今日は当事者なので笛を吹くこともチェーンクルーもできない。ただ裏方の仕事はいくらでもあり、すでに球場内の通路を行ったりきたりしている。
「おはようございます」控室に入ると、すでに関西側のクルーはあらかた揃って着替えを始めていた。季節は12月を迎え、どんよりした雲間から時折陽がさすという天候だ。風もなく、気温もそれほど下がっていない。まずフットボール日和と言える。

試合前に球場内の食堂で昼食を取る。こちらのテーブルで法政の監督とコーチがコーヒーを飲みながらヒソヒソ話をしていると思ったら、あちらのテーブルでは関学のヘッドコーチと関西連盟の関学OB役員が談笑していた。食事を済ませ、両校の選手やマネージャーも見え始めた通路を通って控室に戻る。段々緊張してきたのが自分でもわかる。全員が揃った控室には両校の1年生と思しき数人がボールチェックに来ていた。
「関学、革6、ゴム6」、「法政、革6、ゴム6」。チェックが済み、当日の審判クルーなどを書き込んだホワイトボードの各チームのところにチェックされた項目などが追加されていく。控室のドアを閉じ、全員が揃ってプリゲームミーティングが始まった。やはり、いつものリーグ戦のときとは、雰囲気が違う。改めて昨晩話し合った点や、セレモニーの段取り、ポジションごとの役割を確認して、あっというまに試合開始30分前になってしまった。

高校野球の中継でお馴染みの選手用通路を通ってグラウンドに向かう。関学の応援が通路にまで聞こえてくる。通路を出ると左手にテレビ中継用のやぐらと3階建てのプレハブ中継棟。その横には電動で上下する台座があり、解説のコニシキが今まさにその台座に乗って解説席に向かうところだった。巨大なコニシキは階段で3階まで登れないようだ。高まる緊張が、ふっと抜けていく気がした。
(続く)

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