一難去って一難とはこのことだ。

山賊・山賊・オオカミに山賊と来て、しまいにはゴブリンときた。




-盗賊の石碑-


ブルーマまでもうすぐだ。アンガから少し西にある街道に戻り北上する。

コロ-ル方面の街道と交わり、さらに北に延びる地点で少し休憩をとり、また歩き出したが、ふと思うことがあって南に戻ってみた。

するとなんという導きか、セルセンに程近い道沿いで、盗賊座の石碑が屹立しているのをみつけた。

これからの稼業の安全と大成を祈願し、しばらくの間祈りをささげてみたところ、体の中に新たなる力がみなぎってくるのがわかった。

 

「盗賊には、天賦の極術とよばれる欺きのコツが伝わっている」と、盗賊ギルドの参謀・アーマンドが言っていた。長い間、盗賊の間に伝わってきた加護の詩の中の一文、


--信じよ、己を。

鍛えよ、練磨の騎士の剣よりも疾きその肢を。

揺らぐ事なき覚悟は、非力なる術よりも天の時を呼び寄せるであろう--


を口遊みながらの世間話だったが、その目が笑っていなかったことを思い出す。




-荒らされた鉱山-


盗賊の石碑から北に向かって戻る途中で、弓使いと斧使いの山賊どもに襲われた。

なんとか撃退したが、その後も頻繁に狼の襲撃にあう。

疲労困憊していたが、先ほど得られた、盗賊座の加護を心がけながら戦ったせいか体が軽い。

北に向かっていた道が南西と北東に分かれているのが目に入った。

ブルーマはもう目と鼻の先だ。


そこに至る少し手前の道沿いに、荒らされた鉱山がある。

ここで俺は、自分が大きな間違いを犯していたことに気づく。

数年ぶりに味わう、ここ数日来の疲労と、目的地は目前だという気の緩みから、

もっと早く気付くべきだった事を見落としていたのだ。



いつも通り、注意していれば気付いたはずの、異臭。

鼻にまとわりつくその臭気の元は、野生の獣よりももっと危険で卑しむべき存在、

ゴブリンだ。

おそらく、この荒らされた鉱山はゴブリンの襲撃をうけて放棄されたものだろう。

そして、今その鉱山の入口近くを徘徊していたゴブリンが2匹、俺目がけて武器を構えてゆっくりと歩いてきている。

逃げるか、戦うか。

ここからブルーマまで、この重装備と疲れた体を引きずり、逃げおおせる自信はない。


くそっ!


勝算は少ないが、持てる限りの力を振り絞って戦うしかないようだ。



メファーラの祠を通り過ぎ、北西に針路をとった。

ブルーマへ向かう街道が見えてくる直前に、またもやアイレイドの遺跡を発見した。




-アンガ-


すぐ傍で発見した、少し東のセルセンやセルセンの井戸もだが、今帝都が支配している地域が、そのまま太古のエルフが活躍していた地域だということがよくわかる。

アイレイドに総称されるような、「エルフ」といえば、突出した魔法や建築、芸術を以て世界を支配していた種族だ。

その遺跡には、さぞかし高価なお宝が眠っていると思われる。

ここもそのうち探検してみたいものだ。

しかし、残念ながらアンガの入口は、自らの遺跡から倒れ落ちてきた巨柱によって封じられていた。

なんとかして入れないものだろうか。


後ろ髪をひかれながらもその場を後にする。






-デイドラの祠・メファーラ-

苔石の洞窟の入口から、デイドラ気配が感じられた。
デイドラそのものというよりは、デイドラの気配の残滓のようなものだ。
もしかするとこのそばに、デイドラの神を祀る祠があるのかもしれない。
デイドラの祠近辺には危険な獣がいる事がおおい。

案の定、メファーラの祠があり、そこには数人のインペリアルと、ローブをまとったダークエルフがいた。
ダークエルフに話しかけると、真夜中から夜明けまでの間に、ベラドンナを祭壇にささげろという。
妙な話だが、今はかまっている暇がない。ベラドンナを入手したら戻ってこればよいだろう。
このまま行くとブルーマではなく、シェイディンハルに向かってしまう。
獣道ではあるが、進路を北に戻し、ブルーマへの旅路を急ぐことにする。



気をつけて探索を続けよう。