成功の秘訣をつかみ始めていることが自分でもよくわかるだろう。

大切なのは集中力、たったそれだけなのだ。




-成長-


ブルーマで腹ごしらえをし、周辺の探索ついでに、荒らされた鉱山の近辺を探り、安全を確認してから入ってみた。やはり想像した通り、内部はゴブリンの巣窟だった。

無理しない程度に内部を散策していたが、そろそろ戻ろうかという時に、ゴブリンの尖兵に発見され、

そいつが連れてきたかなり手ごわい敵とやりあう羽目になった。


ゴブリン・バーサーカーだ。

どうやらこの洞窟のゴブリンの氏族は「三つ矢」というらしく、三つ矢のゴブリン・バーサーカーはその氏族の戦士長のような立場らしい。

こちとら、長いロングソードと重い重装備、すばしこいゴブリンの動きも制限されるとはいえ、狭い洞窟では分が悪すぎるため、なんとか洞窟の外に脱出。


激闘の末、外で仕留めてブルーマへの帰路についた。

その甲斐あってか、宿屋で休息をとった後、腹ごなしに剣術の型を確認していると、

昨日よりも気力・体力ともに充実し、剣の振りおろしにも一層の力が入ったようだ。


長い監獄暮らしから、順調に体は回復しているようだ。

このまま腕力と持久力、そして滑らかに動くための敏捷性を研ぎ澄まそう。



ブルーマ東門から入った場合の施設を明記しておこう。随時書き加えていかなくては。


・宿屋オラブ・タップ

町に入ってすぐ左。 よく盗品商のオンガーがいる。いないときは自宅だろう


・ハンマー武具店

町の入口から北へ。町の北端にある


・魔術師ギルド & 戦士ギルド

ハンマー武具店の南


・宿屋ジェラール・ビュー

町の入口から進み、階段を上ったすぐ左。オラブ・タップより高級


・ノヴァローマ


衣服屋。ジェラール・ビューと階段を挟んだ反対にならんでいる


・ノルドウィンド商店

防具屋と衣服。ノヴァローマの隣

・聖堂

ブルーマの南側に位置する。オラブ・タップのすぐ向かい


・盗品商オンガーの自宅

聖堂裏南西。彼氏に金を持ち逃げされたアルノラの家のすぐそばだ


・アルノラ・オーリアの自宅 (付記:ブレイドンリリアンの自宅)

聖堂裏南西。オンガーの家の目の前。夫を失ったブレイドン・リリアンの家もその2件隣にある




-ブルーマ-


ここブルーマは、ジェラール山脈の中腹にある町だ。

山から吹き下ろす風と雪という寒く厳しい気候で、豊富な山岳資源を利用したロッジ風の住居と、町の至るところに焚かれているかがり火が印象的だ。


ここは、ノルドを蔑視していると評判のアレッシア・オッタスが、著書の中で

「薄汚い山小屋の中で飲んだくれているノルドの巣窟」

と揶揄したように、ノルドが多く暮らしていが、彼の言うようにここでは度の強い酒は必需品だ。

「シロディールとスカイリムを掛け合わせたような」妙な場所ではあるが、これはこれで情緒のあるものだ。

厳しい寒さでは、本をめくる指も凍りつくのか、大きな町にもかかわらずここには専門の本屋というものはない。

が、戦士ギルドと魔術師ギルドが存在しており、極寒の地独特の苦難やモンスターなどの障害に直面する住民の助けになっている。

 

俺が向かったのは宿屋オラブ・タップ。

ここもブルーマの建物のご他聞にもれず、木と石でできている宿屋兼食事処というわけだ。

ブルーマに入ってすぐに目についた休み処だった。

というだけなのだが、なんと、

ここで相席になった金と灰色のオッドアイの初老の厭世家こそ、盗品商オンガーだった。

腹ごしらえをしながら、彼に500ゴールド相当の盗品を売り払い身軽になった俺は、あたりを探索しながらトラブルの種(冒険者としての仕事は、トラブルを見つけだすことだ。)を探すことにした。







帝都を出て三日目。ついにブルーマに着いた。

いよいよ、これからが再出発の時だ。




-死闘の顛末-


荒らされた鉱山で襲ってきたゴブリンどもと戦っているとき、やつらのメイスに絡みとられ、ロングソードを落とされてしまった。


矢尽き刀折れるとはまさにこのこと。後は盗賊座の加護を信じ散るのみ、と心を決めた。

腕も折れよと、昔鍛えた拳闘で遮二無二応戦したところ、勝利を確信していたゴブリンたちにとっては相当の驚きだったらしく、あわててメイスを繰り出してきたが、不自然なほど動きがゆっくり見え、面白いようにこちらの拳が当たるではないか。


そうか。盗賊に伝わる天賦の極術の加護とは、

己を信じ、拙い技よりも決死の覚悟で事に臨めば、普段隠されている力が現出し、それによって天運すらも味方にできるということか。

数分後、俺の足元には無残に打ちすえられたゴブリンどもが横たわっていた。

本当ならば、メイスなどの装備を根こそぎはぎ取って行きたいところだったが、さすがに連戦に次ぐ連戦で、精も根も尽き果てた。そのまま自分のロングソードを広い、ブルーマに入ったというわけだ。



まずは腹ごしらえをして、今までの足跡を見返しながら、明日からの体制を整えるとしよう。