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私的 3.11 考

南相馬市 再生計画構想私案 2

 <PLAN B>

無位無官 wildfire

2011.6.18


 先に提示した構想私案に基づいて若干の施策を挙げてみる。



1.放射能汚染状況の網羅的把握および総被曝量の算出と周知


2.放射能汚染地域の行政的把握 


3.市町村間借り継続


4.特区制定


5.地域の存続 ~地域の連続的再生


6.土地の買い上げ


7.風評被害の防止


前提条件に、現在の社会システムの枠組みを維持したままでの復旧を行う、という方針を採る場合の施策であることを示しておく。




1.放射能汚染状況の網羅的把握および総被曝量の算出


1-1.放射能汚染状況の網羅的把握 <PLAN Aに同じ>


生活安全地域の画定、ホットスポットの発見により、安全な地域、放射線による将来の健康障害が発生する可能性が否定できない地域を明確にすることを目的とする。

 年間放射線量が1mSv以下の地域については、500mメッシュで測定する。

年間放射線量が1mSvを超える地域については、1kmメッシュで測定する。

東電原発を中心に半径100kmの範囲で測定する。

測定方法は、観測地点の半径10mの範囲で複数ポイントを測定点とし、地上高5cmおよび地上高1mの放射線量率を測定し、高さ毎にその平均値をその地点の放射線量とする。

 なお、測定方法に科学的に有効な方法がある場合にはそれを用いる。

 地図上に汚染状況を年間放射線量1mSv毎に線引きを行い、毎月これを更新する。

 SPEEDIの予測図を参考に、実測図を比較し、将来の放射線量の予測に役立てる。


 1-2.総被曝量の算出


 既に東電原発の事故以来3ヶ月以上が経過し、国による非難措置の遅延等もあり、相当数の住民が多少の差はあるとは言えども被曝をしている。

 早急に現時点での既被曝総量を個別に算出し、後の健康被害が発生する可能性を極力低減する必要がある。この点については、基本的人権の尊重にも関わる重大な問題であり、可及的速やかに各人が自己の被曝総量を知る手立てを講じる必要がある。 

 一年毎の健康診断の際に、ホールボディカウンターによる被曝量検出を行うということも考えられる。


文部科学省が、東電原発から半径80kmの範囲については2kmメッシュで、100kmまでの範囲を10kmメッシュで線量測定を行なう案を発表した。(5月26日発表)

 福島県が、3/11~3/25の間の県民の被曝総量調査を行う旨発表した。(6月18日)



2.放射能汚染地域の行政的把握 


 法律により(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律および関係法令等)「放射線管理区域」という公共の安全確保を目的とした制度が定められている。それによれば、1.3mSv/3month(0.6μSv/h)を外部放射線にかかる線量として放射線管理区域の設定基準にしていることを念頭に置く。


 次のように把握をする。(※) 

年間放射線量

生活用途

産業等用途

1mSv未満

一般居住区域

学校 一般病院 その他従前の生活区域

1mSv以上 5mSv未満

制限居住区域

農耕不適区域 発電拠点 一般産業用途

5mSv以上 20mSv未満

居住不適区域 

発電拠点

20mSv以上 

立ち入り制限区域

立ち入り制限区域

1mSv/year ≒ 0.114μSv/h

5mSv/year ≒ 0.570μSv/h

20mSv/year ≒ 2.283μSv/h

※日本の平均的な自然放射線量とされる 約1.4mSv/yearを除く


 行政サイドとして把握していれば充分なので、目安として地域による線量を現状として認識しておけばよい。

 場合によっては一部地域に立ち入り制限を行う。


参考:50歳以上の高年齢者に対する区域分け。

年間放射線量

生活用途

5mSv未満

一般居住区域

5mSv以上 20mSv未満

居住不適区域

20mSv以上

立ち入り制限区域


海洋汚染については東電、文科省による測定値を把握し、水産物に関しては厚労省による検査報告を受ける。



3.区の間借り継続


 東電原発事故以来、小高区では本来の行政地を離れなければならない状況が続いているが、国による安全宣言が発せられるまで当面の間、現在の間借り行政を継続する。

 この間、避難所の運営、仮設住宅の設置運営等に関しては、国または県の全面的なバックアップを強く求める。

 市民サービスに影響が出ていることは明らかではあるが、非常事態でもあり最低限の行政サービスの提供を行うことで納得していただく。

 国からの安全宣言があり次第、旧来の行政地を復活させ、住民と共に被災地であるこの地域を復旧していく。

 他町村からの避難者に対しては、市として寛容にこれを受け入れ、共に復旧の道を歩む。受け入れについても、国や県の財政的支援を求める。



4.特区制定


 現在支障の出ている行政活動に関して、特区申請を行うことも含めて柔軟な対応を行う。



5.地域の存続 ~地域の連続的再生


 今現在は分断されている地域コミュニティを早期に復活させるべく、安全宣言発令後速やかに旧来の土地へ帰還する。




6.土地の買い上げ


 住宅用地、農業用地等で居住又は耕作の用に適さなくなった土地については、国による買い上げを求める。

 津波被害を受けた農業用地については、他県での実証効果等を参考に、国または県によって復旧を行うことを求める。



7.風評被害の防止

 

 国や県に対して、風評被害の低減を強く求め、当市の農水産物の販売に支障が出ないようにし、風評被害額が明らかになった場合には保障を求める。

終

4.特区制度の利用




 これらに掲げた政策を行なうことにより抵触する法令等に関して、改正を行わずにかつ違憲状態を生み出さないために、あらゆる特区制度を用いて対処することとする。

 一種の超法規制度的特区ともいえる前例を見ない方策ではあるが、現在これらの市町村が置かれている状況が既に前例のないものであることは明らかである。従って、時限的にであっても応急措置としても、保護すべきものであると考える。


 再生可能エネルギー基地特区

 放射能汚染研究特区 除染、医療

 ベテランズシティ特区

 広域合併特区

 税制特区



5. 組み分けに基づく、地域の策定 ~地域の破壊と再生


  上記2.の組み分けに従い、広域合併磐前市は、一般居住区域、制限居住区域、居住不適区域、立ち入り制限区域とに区分される。この区分は最終決定という性 格のものではなく、除染技術の開発等によっても変動するという点を明記したい。しかしながら、ある種の政策的な意図によって変動させてはならないと考え る。


 一般居住区域


 一般居住区域は、放射能による影響を考慮することなく24時間生活できる区域として、一般住宅や学校、医療機関、役所などが設置される。


 制限居住区域

 制限居住区域は、放射線に対する感受性が強い若年層を保護する意図を持ち、一時的な滞在を前提とした区域となる。一般産業用途として会社等の企業、再生可能エネルギー生産基地、放射能汚染に関する研究施設など、半日程度の滞在を考慮した区域とする。

 高年齢者に関しては、上述の通り、ベテランズシティの建設などを極力低線量区域に集中して生活居住空間を設置する。


 居住不適区域


 居住不適区域は、放射線管理区域に準ずる扱いとし、ある程度の人の出入りを制限する必要がある。再生可能エネルギー発電設備など、長時間の人の滞在を前提としない施設を設置する。


 立ち入り制限区域


 この区域には原則として人の立ち入りを禁止し、研究目的など短時間の滞在のみを許す区域とする。


  このような区域分けによって、地域は分断され、文化は消滅するのかもしれない。しかしながら放射能の危険が去るまでは、危険と同居させることは避けたい。 文化は人が作り上げるものであり、その人を守ることこそが最優先であると考える。危険と同居して人を傷つける環境に置かれた場合に文化は育つのだろうか。

  とはいえ、どんなリスクがあってもそこで生活したいと考える人もいるかもしれない。その場合には、将来発生しうるあらゆるリスクを明示し同意を得た上で生 活を認めるほかにはない。たとえ立ち入り制限区域であったとしても。ただし当該人に対しては、放射線障害の発生を早期発見する上でも詳細な健康診断を行な い、仮に障害が発生した場合には、適切な放射線障害医療等を受けられるように国の責任において手配するべきである。



健康保険の問題~放射線障害医療は無償化か有償化か



6.土地の買い上げ、借上げ


 広域合併磐前市においては、土地所有者、土地権利者への対応も国を通して行なう必要がある。

立 ち入り禁止区域内の土地に対しては、震災発生前直近の路線価で買い取って国有化を行なう。買い上げに応じない地権者に対しては、借り上げを含めた柔軟な対 策を採る。仮に民間業者による土地買占め等が既にあった場合には、路線価での強制的な買取を特区法において行う旨を周知させる。

 居住不適区域に関しては、再生可能エネルギー基地等に利用することから、当該土地を国によって買い上げまたは借り上げを行なう。

 制限居住区域に関しては、公営の研究機関、ベテランズシティなどの公共に用する土地については国が買い上げまたは借り上げを行い、それ以外の民間の用に供する土地は従来の権利関係に基づいて売買がなされて良い(税制の優遇はあるべき)。

 一般居住区域に関しては、住宅地、学校、病院等に要する土地が必要になり、公営住宅も重要な役割を担うことが想定される。従って街づくりプランを定めて新しい集落のあり方を検討した上で区画整理をしていく必要がある。

 3.11以降の当該地域の公共の用に供する土地の民間による売買については、特区の特例により国による買い上げ基準に基づいて一律に国が買い取ることとする。(市場原理の排斥)



7.産業の再編成


  文科省の積算線量推定マップによれば、2012年3月11日までの一年間で5mSvを下回る区域は広域合併予定市町村の範囲には非常に限定的に存在するの みと推定される。南相馬市の東側地区は低線量ではあるが、沿岸部は津波の被害を受け、耕作地として蘇らせるまでに複数年を要すると考えられる。また、震災 以前の線量との比較において、収穫物がそれと同程度であると期待することは困難であると推測できる。加えて、東電原発被災地からの農産物ということを考え ると、仮に安全値の範囲内であっても消費行動を刺激することは考えにくい。これは風評被害ではなく、実害による選択的消費行動として捉えるべきである。

 当該広域合併市町村内においては、一次産業の放棄を選択せざるを得ない。

 水産物に関しては、海洋に漏洩または投棄された放射能汚染水の濃度と量が不確定であることから、地域の沿岸漁業はやはり放棄せざるを得ない。


 一般居住区域、制限居住区域内に、自然エネルギー発電に関する大プロジェクトを実施する。

 ギガソーラー発電施設の建設

 風力発電施設の建設

 その他自然エネルギー発電施設の建設

 自然エネルギー発電に関する先進研究施設の建設

 以上の付帯的な施設の建設


 制限居住区域での作業に関しては、長期間24時間滞在する性格のものではないことを考えると、放射線による影響は無いとは言えないが大きいとはいえない。当然のことながら、被曝管理についても厳格にこれを行い、可能な限り被曝量を抑えることは必要である。


 食糧生産から、電力生産へと基幹産業を変換していく外に選択肢はないと考える。

終


タイトル変更(6.21)

磐前市に訂正 4P-L7,L14,L15,L25,L26.5P-L18.6P-L20L(6.23)

南相馬市 再生計画構想私案 2

<PLAN A>

無位無官 wildfire

2011.6.18



先の私案に示した構想を元に、少し具体的な施策を挙げてみる。



1.放射能汚染状況の網羅的把握および総被曝量の算出と周知


2.放射能汚染地域の組み分け (居住・農耕・水産業不適地域、発電拠点、居住可地域)


3.市町村広域合併


4.特区制定


5.組み分けに基づく、地域の策定 ~地域の破壊と再生


6.土地の買い上げ、借上げ


7.産業の再編成





1.放射能汚染状況の網羅的把握および総被曝量の算出



1-1.放射能汚染状況の網羅的把握


生活安全地域の画定、ホットスポットの発見により、安全な地域、放射線による将来の健康障害が発生する可能性が否定できない地域を明確にすることを目的とする。

 年間放射線量が1mSv以下の地域については、500mメッシュで測定する。

年間放射線量が1mSvを超える地域については、1kmメッシュで測定する。

東電原発を中心に半径100kmの範囲で測定する。

測定方法は、観測地点の半径10mの範囲で複数ポイントを測定点とし、地上高5cmおよび地上高1mの放射線量率を測定し、高さ毎にその平均値をその地点の放射線量とする。

 なお、測定方法に科学的に有効な方法がある場合にはそれを用いる。

 地図上に汚染状況を年間放射線量1mSv毎に線引きを行い、毎月これを更新する。

 県、国への全面協力を求め、文科省と共同で広域合併市内の詳細な汚染状況マップを作成し、SPEEDIの予測図等も参考に将来の放射線量の予測に役立てる。





 1-2.総被曝量の算出


 既に東電原発の事故以来3ヶ月以上が経過し、国による非難措置の遅延等もあり、相当数の住民が多少の差はあるとは言えども被曝をしている。

 早急に現時点での既被曝総量を個別に算出し、後の健康被害が発生する可能性を極力低減する必要がある。この点については、基本的人権の尊重にも関わる重大な問題であり、可及的速やかに各人が自己の被曝総量を知る手立てを講じる必要がある。 

 一年毎の健康診断の際に、ホールボディカウンターによる被曝量検出を行うということも考えられる。




文部科学省が、東電原発から半径80kmの範囲については2kmメッシュで、100kmまでの範囲を10kmメッシュで線量測定を行なう案を発表した。(5月26日発表)

 福島県が、3/11~3/25の間の県民の被曝総量調査を行う旨発表した。(6月18日)




2.放射能汚染地域の組み分け


 法律により(放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律および関係法令等)「放射線管理区域」という公共の安全確保を目的とした制度が定められている。それによれば、1.3mSv/3month(0.6μSv/h)を外部放射線にかかる線量として放射線管理区域の設定基準にしていることを忘れてはならない。



 次のように区域分けをする。(※) 

年間放射線量

生活用途

産業等用途

1mSv未満

一般居住区域

学校 一般病院 その他従前の生活区域

1mSv以上 5mSv未満

制限居住区域

農耕不適区域 発電拠点 一般産業用途

5mSv以上 20mSv未満

居住不適区域 

発電拠点

20mSv以上 

立ち入り制限区域

立ち入り制限区域

1mSv/year ≒ 0.114μSv/h

5mSv/year ≒ 0.570μSv/h

20mSv/year ≒ 2.283μSv/h

※日本の平均的な自然放射線量とされる 約1.4mSv/yearを除く

 制限生活区域は、24時間の滞在をしないことを前提とした生活区域を意味する。ただし、放射線に対する感受性が比較的低いとされる高年齢者(概ね50歳以上)については一般生活区域と同様として扱う。


50歳以上の高年齢者に対する区域分け。

年間放射線量

生活用途

5mSv未満

一般居住区域

5mSv以上 20mSv未満

居住不適区域

20mSv以上

立ち入り制限区域



海洋汚染については別途定めることとし、水産業不適地域の策定はそれに基づいて決定する。


漁業関連

遊魚、海水浴関連



★市内に1mSv/year未満の地域を見つけられなかった場合にどうするのか?



3.市町村広域合併


 東電原発敷地をもつ大熊町、浪江町、第二原発敷地を持つ富岡町、楢葉町、立ち入り制限を受けている川内町、広野町、一部立ち入り制限を受けている田村市、葛尾町、南相馬市、避難指示の出る飯館村などを対象として、広域合併を行なう。

 場合によっては、相馬市、いわき市、川俣町、伊達市等の市町も対象と考える。

 新設市(仮に磐前市とする)内において、前記汚染地域分け区分に従い居住適地に市街地を建設する。


 文部科学省の発表した積算線量推定マップ等によれば、広域合併自治体予定地域を東電原発から北西に飯館村に至まで高線量を示している地域が横断している。このことからみると、広域合併は南の地域と北の地域とに分かれてなされることが現実的な対応と思われる。


 (仮称)磐前市の性格

 磐前市は、緊急避難的な性格ではありながらも、今後30年間(Cs137の半減期)は存続して行くであろうことを前提に、従来の市町村合併と基本的には同様と捉えるべきである。

ただし、放射能による被災合併であることを鑑みて、国の半直轄市という位置づけを行う。

 被合併市町村の現状を鑑みると、行政組織としての存在がギリギリのところで行なわれている状態であることからも、至急に選挙を行なうことはせず、既存の組織の柔軟な運用によって行政活動を行なう。

 首長は、市町村長間の合議または投票によって決定しその他の市町村長は副市長とし、市庁は放射線量率の低い地域または利便性の優れた地域におくこととする。

 従前の市町村は、区として行政活動を行い、旧南相馬市においては鹿島区、原町区、小高区を廃し南相馬区を行政単位とする。(または鹿島区、原町区、小高区をそのまま存続)

 議会は従前の市町村単位の議員の中から、一定数の代表者を選出し、磐前市議会を構成する。それ以外の議員については、区議員として磐前市議会を補佐する。

 これらの制度を用いるためには、あらゆる広域特区として時限的(30年間)に実施することとする。


 学校等の扱い

 学校は、従前の校舎が一般居住区域にある場合にはそれを利用し、以前の学校単位を廃止し、新たに学区等を制定することで対応する。児童生徒のケアを行なうカウンセラー等を配置する。教職員は必要定数以外を一般行政職に振り替え、復興と再生に尽力する。


南相馬市再生計画構想 私案

無位無官 wildfire

2011.6.13




  復興構想会議、自治体ごとの復興委員会等から出るステートメントを見る限り、小ぢんまりとした提言や、曖昧な計画案になってしまっている印象を拭えない。 復興財源という問題が存在する以上、各々の身の丈にあった内容になることは理解できるが、被災地域に過度の負担を甘受させてしまう結果を招きいれる恐れを 抱かずにはいられない。

  南相馬市に限ってみれば、東京電力福島第一原子力発電所(以下東電原発という)事故による放射性物質の大量放出によって、地震津波による災害からの復興と いう観点だけでは考えることができない。もちろん他市町村においても同様の問題はあるが、縁のある南相馬市を中心に私案を提示してみたい。






 先に理由を記しておく。

ま ず一点目は、放射線障害による農畜産物、沿岸漁業を中心とした水産物に対する放射能の影響についてである。放出された全体量が公表どおりなのか判然としな いこと、対象となる放射性物質の半減期とを考えると、短期的に解決できるとは思われない。地域として一次産業の放棄という厳しい選択肢も考慮に入れる必要 があると考える。

  二点目に、放射能による健康被害、生物への影響に関する、明確な科学的説明が人類史上未だ示されていないこと。恣意的あるいは政策的に示されている基準値 などは存在しているが、本当にそれならば安全なのかどうか明らかとはいえない状況にあることは、福島県内の校庭の安全放射線量を一時的にでも 20mSv/Yとした基準を見ても容易に理解できるところである。発がん性に関して喫煙による害との比較論も散見されるが、嗜好的に放射線を浴びているわ けではないことからも全くもって論外である上に、がんのみが放射能による健康被害ではない。

  三点目は、震災以来現在までの放射線量の測定値および測定方法に、少なからぬ問題があるということ。新聞紙上等に毎日、県ごと、市町村ごとの放射線量が掲 載されているが、それはある一点で測定した結果にすぎず、被災地から離れた地方の紙上には毎日、「福島県 1.5μSv」などと当たり前のように示されて いる。主に東電原発のベントや水素爆発によって一時的に大量に放射性物質が環境外部に放出されたのであるが、3ヶ月という時間、地上に降り積もったそれが そのまま同じ場所に存在し続けているわけではない。雨風によってある場所には集積され、ある場所には微量しか残っていないという状態にある。従って、同じ 街の同じ地番であっても数メートル測定地点をずらすだけで数値が大きく変動する、そういう状態であることは想像の翼を広げるまでもなく明らかなことであ る。

 


次いで、一次産業について考える。

 福島県の浜通り地区の一次産業、稲作、畑作、畜産、沿岸漁業等については、これを放棄すべきであると提案する。

 生産したものが売れるのかどうか、という視点は生産者としては必要であるが、消費者からは特段に考慮すべき問題ではない。放射能という目に見えない汚染が事実として存在する以上、それが果たして安全であるのか、そうではないのか、という判断が重要になってくる。

 フクシマの一次産業を殺すのか、と言われれば、そうですと言うほかにはない。

  風評被害、という言葉が独り歩きしていて、あたかも基準値内の放射性物質の含まれた農水産物が安全であるという印象を与えていることに強い違和感を覚える のである。事故以前には極微量にしか検出されていなかったはずの放射性物質が、現時点で何倍もの数値として測定され、厚労省が俄かに策定した暫定基準値に よって出荷規制等が行なわれている。この暫定基準値だが、基準値を僅かでも下回れば本当に安全といえるのかどうか。事故以前の数値に限りなく近いという値 ならば、問題なく安全と言っても良いかも知れない。低線量放射線による障害については未知の部分も多く、どこからが安全であるというしきい値は存在しな い、との学説もある。

 こういった状況の中で、風評被害、という言葉が問題の根っこから目を背けるのに一役買っているのではないかと思えるのである。

  私見であるが、あくまでも3.11以降に幾ばくかの放射線量が検出された食品は東電原発事故による実被害であって、決して風評被害と言う便利な言葉でお茶 を濁してはならないのではないかと考えている。もしかしたら30年後にガン等を引き起こすかもしれない産物を、「安心です」と言って消費者に提供して良い のだろうか。

  一種のサンクションとして、この事態を招くのに一役買ったという意味で、責任のある大人たちが自主的にそれらの産物を摂取することは、道理としてはあると も言えよう。しかし、それを単に安心という言葉で広範囲に提供することで、将来の二次被害、三次被害を引き起こすことにつながる恐れはないといえるのか。 安心と安全は同義語ではない。

  生産者の立場では、売れるのかどうかに関心が集中するがこれは当然のことであると考えられる。売るために生産し、売るためにPRをする。厚労省による放射 能の暫定基準値を超えた生産物でさえ一時期は流通させようとした事実もあったが、目の前の生活を考えれば売らなければ生活資金に事欠く状況に陥っているこ とをあわせ考えると、軽々に非難することは避けたい。ただしその場合には、これだけの放射能を含んだ生産物である、という表示をしたうえで販売する必要が あったと考える。製品に対する説明を欠いて販売したのでは、消費者を欺くことになりかねない。売れるのかどうかという判断基準よりも、今回はより安全であ るかどうか(安心ではなく)に重きを置くべきであろうと考える。安心をうたって販売した生産物が、将来、含まれていた放射能によって何らかの病気をもたら すことが判明した場合、生産者は責任をとり得ないであろうし、それでは東電と同じやり口で商売をすることになる、と考えたとしたら行き過ぎだろうか。

 放射能によって汚染された土地の綿密な測定と線引きは、今後を見通す上で必須である。より以上に安全サイドに立って農耕不適地域を早期に確定する必要がある。

 そのうえで、当該土地を含めた再生エネルギー供給基地として利用可能な土地を、国によって買い上げまたは借り上げを行なうことが求められる。







再生構想





1 再生可能エネルギー基地特区構想





 ここでは一次産業の放棄という観点も含めて、再生可能エネルギー基地として地域を再編していくことを提案する。

  事実として放射能に汚染された土地が存在し、その汚染原因である放射性物質の完全な除去がかなわないのであれば、その地域での食糧生産は放棄すべきであ る。低線量の放射能による障害についての明らかな所見が、世界的に見て示されているとはいえない状況であるからには、汚染地域のいかなる生産物であっても 安全をうたうことはできない。5年後は大丈夫でも、30年後に大丈夫だと宣言できない放射能汚染をうけた生産物を誰が責任を持って流通させられるのか。

 何とか農業を再生させたい心情は理解できても、放射能汚染を全国に拡散するようなことは避けるべきではないのか、と考えるゆえである。

 放射能汚染を受けた地域の土地(農地、居住地など)を国が適価で買い上げ、または借上げて一時的にでも土地所有者、地権者の利益を損ねないようにする。その場合の対象地は、放射能汚染の状況を的確に調査した上で策定されることとする。

  当該土地の中で、再生可能エネルギーの生産拠点として利用可能な地域に、ギガソーラー発電などの電力供給設備を集中的に築き上げ、原子力発電に替わるエネ ルギー生産基地を作る。常に最新の研究成果を反映できるように、国家プロジェクトとしても先進エネルギー研究所を地域内に設置し、この分野で世界をリード できる体制を維持する。すなわち、世界で一番の技術力、研究力、構想力を持った地域を作り上げる。二番ではダメである。







2 姥捨て山特区構想 (ベテランズシティ)





 南相馬市が平成22年に行なった市民意識調査によれば、高齢者福祉介護を含めた地域医療に対する要望度が高く示された。他には、地域経済の活性化、子育て教育関連などが要望としてあげられている。

  放射線量率の高い地域には居住しない方針を示すことがより安全を目指す上では重要であるが、市内全域で居住禁止を行うことは理想ではあっても現実的とはい えない。そこで、比較的放射線量の低い地域、鹿島区などを中心に、高齢者介護施設と高齢者医療施設を中心としたベテランズシティを建設する。超高齢化の町 を作ることで、日本全国からも入居者を集め、国内の先進高齢者医療介護地域として作り変える。

 姥捨て山というと良い印象を抱けないかもしれないが、放射性物質の即時除去が不可能な限り、比較的放射能の影響が少ないと言われている高齢者を中心に住まう町として生まれ変わることが考えられる。

 ただし、医療介護従事者やその周辺に必要な人材も多数発生するため、比較的低線量な地域をベテランズシティとする。


3 放射能汚染地域自治体による広域合併または自治体に順ずる地位での広域連合


  東電原発所在町村をはじめ、一部の町村は自治体としての機能を既に失いつつある。土地を追われ、住民は散り散りになり、辛うじて役場の人的組織だけが残存 しているという状態にある。今まで歴史を築いてきた自治体のアイデンティティは尊重したいが、放射能という敵に占領されている状況下では、それもむなしい ことではないかと思われる。占領された沖縄が日本に帰ってきたのは戦争終了後約27年かかっている。

既存の自治体ごとに対策を取れるという性質のものではないことは、明らかになってきていると思われる。広域合併を行なった上で、その中での有効な土地利用を模索して行くことが、将来的な展望に立った時に実現可能な施策が描けるのではないかと考えられる。

市町村合併という制度以外では、市町村広域連合の形で特区として連邦制のような自治権を持った集合体を作る方法も考えられる。その場合、国、県、広域連合、市町村(区)、という自治権に関する複雑化を招くことによる新たな問題も生ずる可能性があると言える。

基本的には、広域合併によって(仮に)磐前市を誕生させ、東電原発所在町だった場所は一部または全部に立ち入り規制を敷き、20km圏内とされた地域でも線量値が低い地域には再生可能エネルギー発電技術を投入する。

ベテランズシティの建設や医療機関や教育機関、研究機関等を線量値のごく低い地域に集約させて新規に町を作って行く、そんな発想も必要ではないかと考える。







4 放射線障害医療機関、放射線調査研究所、放射線除去特別研究所の設置





  日本の放射線障害に関する調査は、広島、長崎への原爆による被曝(被爆)被害によるものが主で、チェルノブイルでの事故に関する積極的な調査は行なわれた 形跡がほとんどない。国際的な機関による公式資料に依存した、無検証な被曝被害の研究が行なわれてきたに過ぎないと行っても過言では無いように感じる。

  フクシマでの事故によって、チェルノブイル以上の詳細な研究調査が可能になっているにも関わらず、放射線量値を測定するモニタリング地点一つをとってみて も、全く不完全なままで時を経過させていると言えるであろう。当然のことながら被曝被害の実態についても、計画的組織的な調査すら行なわれておらず、多く のホットスポット居住者が自分の積算被曝量を知らない実態がまかり通っている。

 既に手遅れになっていることもあるやも知れないが、早急に福島県の浜通りに放射線障害医療機関、調査研究所、放射線除去に関する特別研究所の設置を行い、情報公開を前提とした活動を行なっていただきたい。

 日本国内のみならず、海外からも優秀な頭脳を結集して、世界の英知をフクシマに集めていただきたいのである。

 予定される研究機関の設置場所は、当然のことながら、上述した広域合併自治体の中であり、経産省からの分離独立を予定されている原子力安全保安院の支所もそこに存在することもまた当然であろう。







5 財源と過疎対策





今 回の震災と事故で大きな被害を受けた都道府県または市町村を除く地域を対象とした震災復興税制を敷き、財源の一助とする。被災地の多くは過疎化や高齢化が 進み、特に福島県の浜通りではその打開策としての企業誘致の果てに原子力発電所を招きいれた経緯もある。このような地域を除いた税制を実施することで、あ る種の免税地区を設定し、経済的な保護を行なうと共に新たに企業等の誘致を行ないやすい環境を作り出せると考える。

法制度上の問題点も少なからず生じると考えられるが、特区制度を援用することで、例えば10ヶ年度限りの時限立法などを用いるなど復興再生の一助となりうると考える。

  対象地域を、仮に市町村単位とするならば、設定する税目による税収と、震災被害額、復興再生にかかる費用概算とを比較衡量するなどして線引きは可能ではな いかと考える。そうすることで東北三県以外の茨城や千葉、青森、北海道などでも一部分で税制特区が生じるかもしれないし、東北三県であっても通常税制の枠 組みに入る地域も出てくるだろう。復興税制という枠組みである以上、それはそれで構わない。







6 東北地方のアイデンティティ、文化、コミュニティの消失について





 以上の方策を考えたとき、必然的に既存の歴史ある東北地域独自のアイデンティティなり文化なりをある程度、または根本から破壊することにもなろう。

  それに対して、あくまでも土地への帰属を第一に考える人々の存在は無視することはできない。その場合は、放射能と共存していく覚悟を尊重して、消極的関与 を続けることで対処するほかにはない。土地からの排除、土着する人を排除するのではなく、放射線障害医療の観点からの継続的な診断、放射線障害と疑われる 症状が見られた場合の適切な治療など、地域に設置された放射線障害医療機関を通してケアしていく体制を作るべきである。

 ただしその場合には、放射線障害の将来発生する可能性が高いと考えられることの告知、適切に情報を提供し続けることなどの条件が国や県、広域合併自治体等に求められる。







7 フクシマを広島、長崎とは同列には考えない思考





  原子爆弾が投下された広島、長崎にはその直後から市街の再建が行なわれ、現在も多くの人々が生活をしている。これらの街は復旧されたが、研究者の間でも議 論があるように放射能の影響が未だに継続的に発生しているということも考えられている。放射線障害と思われる疾病が発生した場合でも、ある程度明確な被曝 (被爆)証明がなされない限り原爆手帳のお世話になる事は出来ないのが現状であるといえる。仮にお世話になれたとしても、残りの生涯を病を共存させながら 過ごさなければならない。手帳を所持していない白血病患者が、比較的多いという話もある。

  認定されていない被曝患者の少なからぬ存在を考えると、フクシマがすぐに元通りに人々が生活をできる空間になると想像することは私にはできないし、現在の 科学技術ではそれを望むことはできないと考える。将来被曝証明書を受けて被災者手帳を持ち歩いて、リスクと共に生活をしていきたいと考えるなら仕方がない のではあるけれども。

 あるいは既に、被曝状況は取り返しのつかないところに至っているのやもしれず、その場合には東電原発による将来の健康被害は、従来の厳格な認定ではなく幅広くそれを認め、適切な治療を行なうことが必要である。

  フクシマ、つまり浜通りの一部地域は、元通りの復興復旧は望むことが厳しいことを前提に、戻って暮らせる土地になるまでには少なくとも30年(セシウム 137の半減期)、あるいは画期的な技術の開発で放射性物質の土壌等からの除去がかなうときまで汚染された地域になっていることを覚悟する必要がある。



最後に


 再生にはならないのかもしれない。地域を破壊することなのかもしれない。しかし良く考えてみて欲しい。既に地域は破壊されているのではないかと。目に見えないだけで破壊は行われてしまったのではないかと。

  もしかしたらそんなに放射能のことを恐れなくても良いのかもしれない。しかし、世界中の放射能を扱っている専門家達が、口をそろえて安全であると宣言して いるわけではない。プルトニウムを飲んだとしても健康に問題はありません、という専門家もあれば、それは猛毒であり非常に危険であるという専門家も存在し ている。これは何を意味しているのか。

 リスクを受け入れる選択をするためには、判断として得られる利益の大きさがその基準となるのだそうだ。そのリスクを甘受するという選択を地域住民が選択するのであれば、上記の考え方の多くは捨て去って良いものであろう。

 文化を守るためにリスクをとる、地域のつながりを守るためにリスクをとる、歴史伝統を守るためにリスクをとる、それはそれで一つの考え方であり排除する権利は私にはない。

あるいはリスクなどないのかもしれないし、もしそうであるならば私は上記の全てを否定されても嬉しい。

 過激な発想と無責任な構想であることは充分に承知している。

 ただ一つの懸念は、現在までの国や県、市町村、東電の動きを見ていても、将来の絵が浮かんでこないことなのである。この地域は10年先、30年先、50年先にどうなっているのか、避難されている方たちと同様、私にも全く見えてこない。

 少なくとも私の存命中、恐らく20年先くらいには笑顔にあふれる幸せな南相馬であって欲しいのだ。

終

1ページ25行目 水素爆発に訂正、タイトルを変更(6.21)

4ページ15行目磐前市に訂正(6.23)
既に賞味期限切れとなってしまっているが、6月から8月にかけて考えていたものを公開してみることにしよう

当時、公開しようかどうか、ずいぶん考えたのだが一部に知らせるだけに止めた
それをなぜ今公開するのか、と問われれば、まだどこかにごくわずかでも何かのヒントが見つけられるかもしれない、という楽観的な希望的観測が働いたから、と答えよう

無責任のそしりは甘んじて受けよう
批判や非難は覚悟の上

単なる全否定の対象と捉えるのも構わない

ただ、被災された人たちに対して、礼を失するものである内容も含まれているであろう点、予めお詫びしておきたい
また、内容によっては相互矛盾する提言をなしていることもあること、お断りしておく

次回エントリーから、10回程度の投稿になるかと思う