今回は、日本の企業における給与制度について書きたいと思います。

 

日本の給与制度の大きな特徴として、「労働時間に応じて支払われる」という点があります。

 

残業をした場合は、定時で帰った場合よりも給料が多く払われ、

タダで働かされることがないという点で、この制度は優れているかもしれません。

 

しかし、一方で、「働いた時間だけに注目して機械的に給料が決まる制度」というのは、

欠点があるのも事実です。

 

ただ、実際には完全に時間のみでなく、経験年数が上がったり、幹部社員になったりすれば、

同じ時間働いても給料が上がったりするという制度はあります。

 

ただ、「時間の長さ」が給料に大きく影響しているのは確かです。

 

この場合、どのような問題が考えられるでしょうか。

 

例えば、始業時間から定時までの労働時間が8時間だったとして、ある業務をこなすのに、

8時間では終わらず、10時間かかる人がいたとします。

すると、その人には2時間分の残業代が払われます。

 

そして、ここからが問題なのですが、

その人が効率的に仕事をこなす方法を編み出し、

同じ業務が8時間で終わるようになったとします。

すると、今まで払われていた2時間分の残業代は払われないため、

全く同じ内容の業務をこなしたにも関わらず、給料が下がってしまいます。

 

「企業で働いて稼ぐ」ということの定義に立ち返ると、

「組織に貢献した対価として給料をもらう」

ということのはずです。

 

すなわち、「全く同じだけ貢献したら、支払われる賃金も全く同じ」

という制度になっていないといけないはずです。

しかし、実際には貢献度に関係なく給料が決まる制度になっています。

 

これでは、「能力を高めたり、やり方を工夫したりして効率を上げた人が損をする制度」

になってしまいます。

それならば、同じ仕事を8時間で行うより10時間かけた方が、

たくさん給料が貰えて得だという考えの人が増えてしまいます。

 

マラソンに例えるとすれば、

「同じ時間走れば、40km走っても20kmしか走らなくても給料が同じ」というようなもので、

そうなると、「40km走るのは損であり、20kmしか走らない方が得だ」

という結論になってしまいます。

 

これでは社員は、「能力を高めて仕事の効率を上げる工夫をしよう」とは思わず、

「頑張った人が損をするから、頑張らない方がいい」という考えになってしまいます。

 

近年、「同一労働同一賃金」などの言葉が出始めていますが、

まだまだそれが実現されるまでは長い年月がかかりそうです。

 

やはり、従業員が意欲的に働く世の中を実現するには、

「努力をして能力を高め、組織に貢献した人が得をする」

という制度に変わることが必須ではないでしょうか。