わが街の、ある大通りに面したビルの1Fを、バスの中からたまに見かけます。その度に、せつなくなります。そこにはいまだに《入居者募集中》の垂れ幕が下がったままだからです。

かつてはここに、カラーセラピー・カフェがありました。わが街にもあるのか!と、発見した時は本当に嬉しかったものです。




このカフェが時々開催していた、茶会と称するイベントで知り合ったのが、後にDolphin Colorsを結成する事になるふたり…ミーとケイです。また、筆文字の先輩であるLucaさんも、このカフェの常連のひとりでした。

茶会以外にも、ホロスコープの大家K先生をお招きしてのセミナーが開催され、参加者ひとりひとりのチャートを作って戴きました。









昨年11月21日、カラーセラピー・カフェは2年間の歴史に幕を閉じる事となりました。本当に寂しく悲しい知らせでした。

その2週間前の11月7日、私はカフェにミーとケイを呼び出して、久々に顔を合わせました。




あれこれと話すうちに、いつしか話題は、皆で何か、カラーセラピーでもホロスコープでもない、別の事ができたらいいね…という内容に変わっていました。

…その最中に、出し抜けにミーがこう言ったのです。まさにアートセラピストであるミーならではの発言でした。




「ケニー、貴方のイルカの写真でコラージュをしようよ!カラーコピーをいっぱい取って欲しいの」

私は驚きました。私の作品を用いて、アートセラピーをしようと提案された事は、これまでに一度たりともないからです。それだけに胸が熱くなりました。

「すごくいいね!是非やりたい!ワクワクするよ!」

ケイも賛成してくれました。私はミーの発案に感謝しました。









今まで私は、自分で撮影した野性イルカの写真を、たくさんの方にごらん戴きました。また、かの旧友EとSの口添えもあり、2003年には都内で初めての個展を開催させて戴いたのでした。

しかしこれは私からの単なる一方的な発信であり、私の作品を使って、何かして下さる方がいらっしゃるならば、喜んで作品を提供したいと思っていました。




その数少ない例を挙げますと、看護師の友人が、心を病んでしまわれた方々に、私の作品を見せて、大変喜ばれたそうです。涙を流していた方もいらっしゃったと知らされました。

俳優をしている別の友人は、私の作品をスキャンして、創作劇の最中や幕間に、ビデオプロジェクターで流してくれました。









それ以来久々に、私の作品を有効活用してくれる人が出現したのです。その人こそミーでした。

11月21日、閉店の日を迎えたカフェの中で、コラージュは決行されました。素材は私自身の作品ですから、単なるコラージュよりも余計楽しいのです。

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完成した時、私は湧き上がってくる気持ちを抑えきれなくなって、ミーとケイに言いました。




『ごめん、泣いてもいいかい?』

「勿論、いいよ。今、何を感じているの?」

「今の気持ちを聞かせてね」




私はミーの嬉しい発案に対する謝意を述べました。こうして私の作品を使ってくれた人は初めてだと…アートセラピーの題材に使ってもらえようとは!こんな日が来ようとは思わなかったと…

『今日のために、20年もの御蔵島通いがあり、このカフェに導かれた気がするんだ。そして、ふたりと友達になれた事もね…』

偽らざる気持ちでした。すっかり涙腺が弛緩してしまいました。




ふたりは異口同音にこう言いました。

「貴方がいるからこそ、このコラージュができたの。ありがとう。貴方の素敵な涙を初めて見たよ」

この時こそ、ドルフィンコラージュ・ワークショップの始まりだったわけです。




「今日は3人それぞれの才能を持ち寄って、コラージュができた気がする。嬉しい。ありがとう」

ミーの言葉に、私はこう返しました。

『才能って英語で、何と言うか知ってる?』

「何て言うの?」とケイ。




『gift…ギフトなんだ。今日は何だか、才能のプレゼント交換会をした感じだよ。

3人とも自分の“才能”をどこでどう発揮したら良いのか、わからなくて迷っているけれど、これからどんどん発揮して、それを周りの人達に“贈り物”として広げて行きたいね』




「そうしよう、ケニー!これからも一緒に遊びながら、自分達がギフトそのものになって広がって行こうよ!」

ミーが満面の笑顔で手を差し出してきました。私は強くミーの手を握りました。

「私も混ぜて~!」とケイ。勿論です。3人の手がしっかり重なりました。今日という日を絶対忘れない!と心に誓いました。3人で一緒に歩み始めた、記念すべき瞬間でした。









癒しだけの人生ではつまらないですね。創造性や才能を発揮できる人生にしたいものです。

しかし、自分の才能自体に気づいていない人・気づいていても発揮できる場が見つからなかったり、どのように発揮すれば良いのか?と困惑している人があまりにも多いようです。私達もそうです。




それでも場や方法を見つけ、ギフト(才能・贈り物)を世界に広めて行きたいです。自分にしか贈れないオリジナルギフトを。

自己と他者のギフトが共鳴し合って結合した時、新たな流れと豊かさが生じるに違いありません。このような機会を増やしたいです。そう強く思えたコラージュタイムであり、ふれあいでありました。









ドルフィンコラージュを発案してくれたミーに、改めて謝意を表します。ミーには虹に関する曲を捧げようかと思いましたが、敢えて別の曲にします。

来年(つまり今年)から何か3人で始めようと誓い合い、カフェを後にして解散してから、帰宅するまでずっと、この歌を歩きながら口ずさんでいました。




♪いざ見せよ まことの君を
偽りの なきその姿
されば君 世に見出だされ
幸に充つ 日々の訪る

永遠に君 この地にて生く
離るるも 逃ぐるも成らず
永遠に君 この地にて生く
この地にて♪

“Forever Bound”by ANNIE HASLAM

原曲はあるクラシックの名曲なのです。この曲をミーに贈ります。ミーがいてくれるからこそ、コラージュができるのです。しかも、ミーは自己開示がしっかりできるし、地に足を着けて生きている人でもあります。そして我らがユニット名の考案者でもあるのです。









今ではDolphin Colorsは、オリジナリティ溢れる創造集団に発展を遂げ、イベントに出展するまでになりました。そして今後も、どんどん発展します!

メンバー各自もますます成長しますし、その事によって、ユニットとしても広がりと幅を深めて行きます。




ふたりへの愛と感謝と敬意を込めて、このブログのタイトルからは今後も、Dolphin Colorsの名称は外しません。

カラーセラピー・カフェは閉店してしまいましたが、その日は我らがユニットが生まれた日でもあるのです。ある消滅が新たな誕生を産んだのです。