先日のお休みの日、下の子が急にお友達のお家に遊びに行ったので、取り残された夫と私。
「何する?」となって、結局、ウィーンミュージアムで開催中の分離派がテーマの企画展「Secessionen — Klimt, Stuck, Liebermann」に行って来ました。
この展覧会タイトル、ミソなのはSecession(分離派)が、複数形になってること!
ウィーンの分離派だけでなく、ベルリンとミュンヘンの分離派も比較紹介する展覧会なんです!
(キュレーターはウィーンミュージアムに関係する方々ですが、展覧会自体はすでにドイツで先行開催されていたようです)
展覧会の入り口デザインもかっこいい!
ウィーンミュージアムは、常設展は無料ですが、企画展は有料(12ユーロ)。
私は先日、オープニングの企画展に行った時、年パス(29ユーロ)を買ったので、無料で入れます。
この時
4月に買って、5月までに企画展2回とヘルメスヴィラに行ったので、1ヶ月ですでにお得
夫に「あと1回企画展行くんだったら、あなたも年パス買えば良かったね」って言ったら、「じゃ、もう行かない」って
(ちなみに、この展覧会に行こうと言い出したのは夫。私は友達と行く予定があったから行かなくても良かったんだけど、夫婦円満のためにそれは言わずに付き合いました笑)
で、肝心の展覧会はすごく見応えがあって楽しかった!
私はドイツの分離派自体にあまり知識がなく、初見の作品もたくさん
この展覧会の作品からの印象では、ベルリンの分離派だけなんだか独自路線で、ミュンヘンとウィーンには似たものを感じた。
ミュンヘンから発祥した分離派なので、ウィーン側が影響を受けていたのでしょうね。
ベルリンの分離派を率いたリーバーマンは作風が、分離派(既存のアカデミズム芸術から「離」れようというムーブメント)のリーダーとは思えないくらい古風!
古典的な雰囲気の中に、印象派らしい手法が混ざっている感じ?
でもこの方、ご自身はこんなにかっちりした画風なのに、新しい作風にも理解があった人で。
あの「叫び」で有名なムンクを支援した方でもあります。
ムンクの人物画の色合いが好き
それに対して、作風もテーマもクリムトと似ている、ミュンヘン分離派のリーダー、シュトゥックのパラス・アテナ(軍神)。
ちょっと中世リバイバル感ある。
クリムトのパラス・アテナには、やっぱりオリジナル性(独自性)を感じる。
それから、近くに展示されていたハインリッヒ・エドゥアルト・リンデ=ヴァルターの父子像が、すごく印象的で気になってしまった
溢れる愛情と子供の可愛らしさ、シーレみたいなタッチと色使いが好み
14区に建設予定だったものの実現しなかった絵画アカデミー(←ヒットラーが入学したくて落ち続けた権威ある美術大学)の校舎案 by オットー・ワグナー。
ウィーンの分離派の特徴は、建築も重要な位置を占めていたことなんだそう。
ミュンヘンにもベルリンにも分離派会館はありましたが、今でも残っているのはウィーンだけなのかな?
ちなみに、今回の展覧会で私がすっかりファンになったのは、トーマス・テオドール・ハイネ(TTH)。
このベルリン分離派展ポスターの、クロクマにキスする女性のイラストが素敵。
この刊行物の表紙のイラストも、棟方志功の木版画みたいな独特の雰囲気がある!
この悪魔像もたまらない
写真では魅力が伝わらないので、実際に見てもらいたい!
分離派の、書籍や建築・家具も全て同じ芸術と捉えるデザイン思考が好きです。
芸術運動として、(新しい芸術の)芽生えも大切なテーマだったため、芽生えの象徴「子供」も重要なモチーフだったらしく。
不思議の国のアリスみたいな絵
この奈良美智感 or 赤い靴履いてた女の子感ある、不思議な雰囲気の彫刻も気になる。
分離派と一口に言っても、作風はさまざまで興味深い。
そして、この画家(ヨハン・ヴィクトール・クレーマー)の自画像、なぜだかすごく印象的だったんです。
自画像ばかりが集められたコーナーでひときわ異彩を放っていて、足を止めて見入る人続出!
ウィーン美術館の収蔵品なので、もうご覧になった方も多いと思いますが、ぜひ生でご覧いただきたいです。
最後にハッとしたのは、コロマン・モーザーの自画像。
ウィーンミュージアムの所蔵品ですが、キャプションには「ユダヤ人所有者から押収された可能性が強い作品です」と書いてあり、情報提供を求めるメールアドレスも記載されています。
フラーっと気軽に見に行った展覧会でしたが、すごく見応えがあって大満足でした。
10月13日まで開催していますので、ご興味のある方はぜひ!
この日、昼間は快晴だったんですが、夕方からは嵐模様になって、冷たい強風が吹き荒れていて。
テラスにいた人たちも室内に移動して、カフェも混雑していましたが、運良く良席をゲット
(まだ外にいるツワモノも!)
チェリーのBlechkuchen(ブレッヒクーヘン、オーブンの天板で平らに焼くケーキ)がすごく美味しかった〜
夫に付き合って行ってあげるか……くらいのテンションで出かけましたが、結局私が一番楽しんでました