の続きです。


そんなわけで、オペラ座についてからもたっぷり時間があったので、いろんなお部屋を回って写真撮影。


国立オペラ座は久々で、ちょっと改装されて、オペラ座舞踏会の名残り?みたいな、おしゃれな装飾もあちこちに。


生花の鮮やかな色使いが、なんだかOpernball(オペラ座舞踏会)っぽい!


いつも閑散としていて穴場だったグスタフ・マーラー・ザールのビュッフェも、オーパンバルの時のバーみたいなデザインになってる!


ビュッフェの中ではいつも一番人気のSchwind Foyer。


ここから、リング通りに面するバルコニーに出られます。


Marmor Saal(大理石の部屋)のビュッフェも、比較的いつも空いているのですが、ここではよく色々なパネル展を開催しています。


今回は、Nur die Geigen sind geblieben (バイオリンだけが残った)という、ホロコーストの犠牲になったユダヤ人バイオリニストの父娘、アルマとアーノルド・ロゼにまつわる展示。



これは、2019年にHaus der Geschichte Österreich(オーストリア歴史館)が企画したパネル展で、イギリスやドイツなども巡回しています。


パネル展示は、2階の大理石の間から、3階の吹き抜けの周辺まで続きます。


これ、公演のチケットを持っていないと見ることができず、開演前や幕間に見るには情報量が多く、じっくり見られなくて残念!


この展覧会のカタログはオーストリア歴史館で販売しているので(ひょっとしたらオペラ座の売店にもある?)、買いに行きます。


そして肝心の公演ですが、観に行ったのはノイマイヤー版「椿姫」の今シーズン千秋楽。



ノイマイヤーはこの作品を上演できる劇場&バレエ団を限定していて、待望のウィーン初演でしたキラキラ


全編ショパンのピアノ曲で構成されていて、舞台上にもピアニストが登場したり、ピアノが重要な役割を担っている作品。


座席はBalkon(4階席になるのかな?)のHalbmitte(中央より少し横)。


この丸のエリア

バルコン階とギャラリー階(上階)は、お安めのお席になるので、入り口も脇の階段を使います。


この階級を混ぜない作りに、昔の貴族文化の名残を感じる〜!


(でも現代では、上階から美しい中央階段にも行けますのでご心配なく指差し


今回の私のお席は前から二列目。


ちゃんと舞台奥まで見えますが、身を乗り出さないとオケピは見えません。


マルグリット亡き後の家財品のオークションシーンから始まって、全編とにかく演劇的な作品。


始まる前から緞帳も上がり、オークションシーンの舞台セットを見ながら開演を待ちます。


パンフレットも美しくて、読み応えあり!


公演の始まり方もすごく演劇的で、終始、衣装や色合いの美しさ、舞台装置の美しさ、ダンサーの美しさ、音楽(特にピアノ!)の美しさに、魂が震えっぱなし!


こんなすごい作品を作って、ウィーンで上演許可してくれて、ノイマイヤー本当にありがとう!


ああ、美、美、美の洪水〜!って思いながら、もう目眩がするような感動と興奮に包まれて、あっという間の3時間でした。


(休憩が2回あります)


昔、日本でシルヴィ・ギエムのマルグリットとアルマンを見た時も心が震えましたが(その時のアルマンの父は、私の敬愛するアンソニー・ダウエルで、本当に素晴らしかった)、今回の椿姫全幕には、本当に魂を奪われました。


特に、アルマンの父がマルグリットに、息子と別れるように言いに来る場面。


最初はマルグリットの存在そのものを汚らわしく思い、拒絶していたアルマンの父(ムッシュー・デュバル)が、マルグリットの純粋な思いに触れて、最後にあれだけ拒絶していたマルグリットの手を取って、そっと口付けして別れる姿にグッときた。


このストーリーは、アルマンが父に、マルグリットとの間の出来事を話す回想式で進んでいきます。


それで、舞台下手の花道に誰かがよく座ってるんですよね。


最初は、「あそこに座ってる人、誰?」って謎に思ってましたが、途中から、あ、アルマンのお父さんか! 回想シーンだからか!って、気づきました。


重要なシーンの、アルマンがマルグリットに一夜の見返りとして札束を渡すシーンも、上手の花道で行われるので、私は見切れちゃって見られなかった!


気づいたら、マルグリットが札束を胸に抱いてヨロヨロしていたので、あれ? もう渡しちゃってたの?って指差し


重要なシーンだから舞台中央でやるんじゃないかなって思っていましたが、違った。


もう目がいくつあっても足りないくらい、隅々まで見たいシーンもあるので、これは1回観ただけでは物足りないかも。


そして、クライマックスの黒のパドドゥでは、踊りももちろんですが、とにかくピアノが美しすぎて、もう自分でもびっくりするくらいの大号泣。


バレエ作品を見て、こんなに泣いたのは初めてってくらい、もう息ができないくらい、あまりの美しさと切なさに、死にそうになりながら見ていました。


なんてすごい作品なんでしょう!


またマルグリット役のオルガさんももちろんですが、アルマン役のブレンダンさん(Brendan Saye)が、もうアルマンにしか見えない!


ブレンダンさんの踊りや立ち居振る舞いも演劇的で、心象風景がものすごく伝わってくるんです。


高貴で美しくて、素晴らしいペアでした。


そして、マノンとデ・グリューを演じられた橋本清香さんと木本全優さんも気品に溢れていて素晴らしかったですキラキラ


あと、印象に残ったのがマルグリットの侍女、ナニーナ役のイリアーナさん。


とっても演劇的で存在感のある、素晴らしい演技でしたグッ(もはやダンサーというより女優)


演劇とバレエとクラシック音楽が融合した、それぞれに質の高い公演の3回分(演劇作品とバレエ作品とクラシックコンサート)を一気に体験できたような、ものすごい作品でした。


舞台装置や衣装の色彩感覚も美しいので、素晴らしいアートの展覧会を見た時の満足感もあります。


素晴らしい作品を鑑賞して、私は見ていただけなのに、身も心も「私も踊ったのか?」ってくらいすっかり疲れて(でも心地よい疲れ!)帰宅しました。


来年も公演が予定されてるので、絶対にまた見に行きたいです。


そして観劇の楽しみ、1回目の幕間には白ワインのソーダ割りとサーモンのオープンサンドを。

@Gustav Mahler Saal


2回目の幕間は、コーヒー(これがウィーンでは珍しく熱々で、ものすごく美味しかった!)を。

@Marmorsaal


ウィーンは街も小さいので、劇場を出てからあっという間に帰宅できて、ものすごく贅沢キラキラ


そんな幸せを噛み締めながら、帰宅の途についていたら、どこからか怒号が聞こえる?


ふと振り返ったら、パトカーから降りた警官が6人くらい、一人の男性を壁際で取り囲んで、銃を構えてる驚き


「Dreh sich um!(後ろを向け!)」って、銃を構えながら怒鳴る警官たち煽り


ひぇー、こんなドラマみたいなことが、こんな身近に?


流れ弾に当たったりしたら嫌なので、私はすぐに立ち去って、一体なんの騒ぎだったのかは分からずじまいでしたが、警官はあっという間にこの男性を取り押さえたみたい。


しかし、なんの騒ぎだったんでしょうね?


警察の逮捕情報サイトを見てみましたが、この件に関しては特になんの情報もなく。


ウィーンで日頃生活していて、比較的治安はいいと感じているのですが、ちょっとヒヤッともした出来事でした。