アメリカ経済の好調さについて、The Economistの記事を読みました。

 

金融政策の失敗から目標を超える大幅なインフレが生じ、アメリカ連銀は金利を急速に引き上げました。1980年代のようなドル高と不況、世界経済への波及が懸念されたわけです。しかし、それは起きていません。

 

不況に陥ることなく、インフレを穏やかに低下させる、アメリカの「ソフト・ランディング」が成功したわけです。いや、The Economistは、高速成長を続けたままの着陸だ、と驚嘆します。株式市場も絶好調です。アメリカ経済の成長が続く限り、バブルは起きていない、と評価します。

 

私が興味を持ったのは、3つの点で、アメリカ経済の供給面が調整に優れていた、という指摘です。すなわち、労働力の豊富な供給(とくに移民)、労働生産性の上昇、ボトルネックの解消、です。

 

日本はどうなのか、と思いました。

 

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中国の温暖化対策について、The Economistの記事を読みました。

 

米中対立が激化したことで、習近平主席の新産業構想が、革新に向けた投資を加速しました。特に、太陽光発電、リチウム・バッテリー、電気自動車で世界の市場を圧倒しそうな勢いです。共産主義体制だから?

 

規模の経済、政府の優遇策・補助金、電気自動車の市場拡大、各地に群生する新興企業と猛烈な競争、などが印象的です。バイデン政権はこれに対抗する決意です。

 

日本は革新できないのか、と私は思いました。

 

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グローバル・サプライ・チェーンに関するWashington Postのドキュメンタリーを観ました。

 

注文のクリックが商品を届ける背後には、ベトナムの海外生産拠点から、太平洋を越える巨大コンテナ船、広大な敷地で、積み下ろしとトラックに委託するシステムが機能し、ラスト・ワン・マイルをFedExなどの宅配業者が担当します。まさに「神の見えざる手」です。トラック運転手の高齢化や倉庫の人手不足、などを除けば。

 

Amazonなどが拡大するインターネット時代の大量消費社会は、ある意味で、非常に脆弱で、非常に柔軟、競争的であり、労働者には苛酷です。

 

プーチンのウクライナ侵攻が支配地域を拡大し、大統領選挙で国民に独裁体制を承認させた直後、イスラム過激派によるテロ攻撃を受けました。イスラエルがシリアのイラン領事館を爆破し、将軍たちを暗殺したことに、イランは報復を表明しました。

 

もし米中が国際秩序の再編=調整について、話し合いを重ね、新しい制度や交渉のルールに合意することができれば、市場の混乱やパニックは抑えられ、社会=政治秩序の不安定化も回避できると思います。米中の戦略合意は、実際、かつて何度か試みられました。

 

政治=経済権力の集中、巨大な官僚制とIT企業、情報技術(特にAI)の性格、それらが歴史的な政治制度に及ぼす「王朝化」の潮流に、アメリカも中国も呑み込まれつつあるのでしょうか?

 

私は、たとえばTim Wuの論説(This Is the Best Way for Biden to Talk About the Economy, NYT March 25, 2024)に、バイデン政権の核心的な民主化構想を観ました。グローバル化の呪縛を解いて、「王朝化」を逆転する、国内の政治制度改革を米中が競うべきでしょう。